日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2019/09/02 14:21
先月末、スポーツ紙に日本ハムファイターズの公文克彦投手が、プロ初登板から165試合連続無敗のプロ野球新記録を樹立したという記事が掲載されていた。地味な記録だが、7年間で165試合に登板して無敗(7勝)というのはすごい記録だ。
公文選手の名字、テレビCMも流れる「公文式」が有名なので、ほとんどの人は「くもん」と読めるとは思うが、「公文」がどういう意味か解っている人は少ないだろう。
実は「公文」とは昔の職業の名前である。中世以前、各地に貴族や大寺社の所有する荘園があった。貴族たちは自分で地方に出かけて行って管理するわけではなく、部下の官僚を現地に派遣して管理させ、自らはその税だけを受領した。
この現地の官僚が「しょうじ」で、「しょうじ」をつとめていた人が名乗った名字が「しょうじ」さんだ。漢字で書くと「庄司」が多いが、他にも「荘司」「庄子」「東海林」など様々な漢字を当てる。
この「しょうじ」の下で、実際に税の取り立てをしていたのが「公文」である。「公文」という名字は現在では高知県に集中しており、公文式の創始者の公文公(くもん・とおる)も、日本ハムの公文投手も高知県の出身。高知県では、県順位で63位に入るメジャーな名字となっている。