日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2019/07/01 15:20
6月30日、落語芸術協会会長に就任したばかりの春風亭昇太が還暦を前に電撃結婚を発表して話題になった。
春風亭昇太の本名は「田ノ下雄二」。この「田ノ下」という名字は珍しい。全国ランキングは2万位以下で、静岡県東部を中心に各地に点々とある。春風亭昇太も静岡市の出身だ。
ところで、「たのした」という名字は、静岡県・愛知県・奈良県などでは「田ノ下」と書くことが多いが、高知県・愛媛県・長崎県などでは「田野下」、岐阜県や富山県では「田之下」と書くことが多いなど、漢字表記には地域差がある。いずれも、「たのした」という音に漢字を当てたもので、「田下」から変化したものも多いと思われる。
さて、「田上」という名字は多いが、「田下」や「たのした(田ノ下・田野下・田之下)」という名字はあまり多くない。これには理由がある。田んぼをつくるとき一番大事なのは水で、当然水を得やすい標高の低い場所が水田化される。すると、住むための家は田んぼより高い場所にあることから、必然的に「田下」より「田上」が多くなるのだ。
にもかかわらず、あえて「田下」や「たのした」と名乗っているのは、そうせざるを得なかった地形的な理由がある場所に住んでいたと考えられる。