日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2019/05/07 10:47
2024年からの新紙幣デザインで10000円札の肖像画が渋沢栄一になるに対し、1000円札は野口英世から北里柴三郎に変更される。北里柴三郎は熊本県出身の細菌学者。ペスト菌を発見し、「日本細菌学の父」と言われている人物だ。
北里柴三郎は阿蘇の名家・北里家の生まれ。この北里家は肥後国阿蘇郡小国郷北里(熊本県阿蘇郡小国町北里)をルーツとする清和源氏の一族と伝え、地名が「きたざと」と濁るため、名字も「きたざと」である。
南北朝時代には桜尾城に拠って阿蘇氏に従い、戦国時代には肥後に進出してきた島津氏に従っている。嫡流は加藤清正の肥後入国の際に召し出されて、のち熊本藩士となった。分家は寛永10年(1633)北里の惣庄屋となり、代々伝兵衛を称して明治維新まで11代にわたって世襲する地元の名家であった。
柴三郎はこの一族のため、本来は「きたざと」である。しかし、ドイツ留学時に「S」を濁って発音するドイツ語流に「Kitasato」と署名したところ、英語圏では「きたさと」と読まれて定着したため、帰国後は「きたさと」に改めたという。
従って、北里柴三郎は「きたさと」が正しく、柴三郎の創立した北里研究所や北里大学も「きたさと」と濁らない。