『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる

「文章を書くことがストレスです」
「文章を書くことが苦手で……」
「文章を書くのに時間がかかります」

そんな「文章アレルギー」の人は多いのではないでしょうか? しかし、文章を書けるかどうかは、仕事の成果や周囲の評価に大きく関わります。

そんな文章に関する「困った」にやさしく応えてくれるのが、『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』を著書にもつ、山口拓朗さんです。

この連載では、これまでライターとして数多くの取材・インタビューを経験した中から導き出した、「書くことが嫌い」を「書くことが好き」へと変える、文章作成のコツを教えてもらいます。

著者プロフィール

山口拓朗(やまぐち・たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所所長。山口拓朗ライティングサロン主宰。出版社で編集者・記者を務めたのち、2002年に独立。26年間で3600件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「1を聞いて10を知る理解力の育て方」「好意と信頼を獲得する伝え方の技術」「伝わる文章の書き方」などの実践的ノウハウを提供。著書に『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)、『マネするだけで「文章がうまい」と思われる言葉を1冊にまとめてみた。』(すばる舎)、『1%の本質を最速でつかむ「理解力」』『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(以上、日本実業出版社)、『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』(明日香出版社)、『ファンが増える!文章術——「らしさ」を発信して人生を動かす』(廣済堂出版)ほか多数。

気軽すぎる文面は命取り! 失礼と思われないためのメール文章術

このエントリーをはてなブックマークに追加

2019/04/03 16:58

(photo by シルバーブレット/photoAC)

一生モノのスキルになる! 『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる方法<連載第14回>

伝える力【話す・書く】研究所を主宰し、「文章の書き方」に関する著書も多い山口拓朗さんに書き方のコツを教わります。今回は仕事のメールにおけるNG文面について。

プライベートの「気軽さ」を仕事に持ち込むのはキケン

この連載の一覧はこちら

SNSを使って誰もが気軽に投稿できる時代。また、チャットアプリを使って家族や友人と気軽にやり取りできる時代。インターネットと情報端末(スマホなど)の充実によって、私たちが文章を書く機会は確実に増えました。

一方で、その「気軽さ」が災いして、仕事で使うメールにも「軽々しい表現」を使ってしまう人が少なくありません。

「言葉の乱れは心の乱れ」などと説教臭いことを言うつもりはありません。しかし、ビジネスシーンでは、最低限、そのメールを受け取った相手に「なれなれしい」「失礼だ」「マナー知らず」と思われない言葉遣いや表現を心がける必要があります。

「軽々しいメール文面」の実例集

「軽々しい表現」の多くは、カジュアルなプライベートシーンで使われる「話し言葉」です。また、なかには明らかな「言葉の乱れ」や、ネット上で飛び交う「スラング」も含まれています。悪気なく使った言葉によって、あなた自身の信用が低下することも考えられますので、習慣的に使っている言葉があれば、注意が必要です。

【気軽すぎる】なるはやでお願いします。
【改 善 例】なるべく早めにお願いします。/明日(13日)の17時までにお願いします。

【気軽すぎる】それとは真逆の見解です。
【改 善 例】それとは正反対の見解です。

【気軽すぎる】コピーしときました。
【改 善 例】コピーしておきました。

【気軽すぎる】ときたまミスが起きます。
【改 善 例】ときどきミスが起きます。

【気軽すぎる】もうちょっとで確定します。
【改 善 例】間もなく確定します。

【気軽すぎる】さっきは失礼いたしました。
【改 善 例】先ほどは失礼いたしました。

【気軽すぎる】ビンテージ品なんかもあります。
【改 善 例】ビンテージ品などもあります。

【気軽すぎる】やっと完成しました。
【改 善 例】ようやく完成しました。

【気軽すぎる】山本さんは、私の3上です。
【改 善 例】山本さんは、私の3つ上です。/山本さんは、私より3歳年上です。

【気軽すぎる】失敗ばっかりくり返しています。
【改 善 例】失敗ばかりくり返しています。

【気軽すぎる】いろんな機能があります。
【改 善 例】いろいろな機能があります。/さまざまな機能があります。

【気軽すぎる】規則じゃありません。
【改 善 例】規則ではありません。

このような話し言葉をうっかり使っていませんか? もう少しあげてみましょう。

【気軽すぎる】進めちゃってください。
【改 善 例】進めてください。

【気軽すぎる】注文しなきゃならないので〜
【改 善 例】注文しなくてはいけないので〜

【気軽すぎる】なるほどですね
【改 善 例】おっしゃる通りです。

【気軽すぎる】ちょっと遅れるかもしれません。
【改 善 例】少し遅れるかもしれません。/少々遅れるかもしれません。

【気軽すぎる】この方向性でいきたいですが〜
【改 善 例】この方向性でいきたいのですが〜

【気軽すぎる】こっちの案で進めておきます。
【改 善 例】こちらの案で進めておきます。

【気軽すぎる】こんな内容です。
【改 善 例】このような内容です。

【気軽すぎる】あんまり人気がありません。
【改 善 例】あまり人気がありません。

【気軽すぎる】ふつうにいいアイデアだと思います。
【改 善 例】いいアイデアだと思います。/お世辞抜きにいいアイデアだと思います。/意外といいアイデアだと思います。

【気軽すぎる】弊誌で取り上げることはないです
【改 善 例】弊誌で取り上げることはありません。

【気軽すぎる】私的には賛成です。
【改 善 例】私は賛成です。

【気軽すぎる】いっぱいご意見をいただきました。
【改 善 例】多くのご意見をいただきました。/たくさんのご意見をいただきました。

【気軽すぎる】たぶん変更ないでしょう。
【改 善 例】おそらく変更はないでしょう。

【気軽すぎる】がっつり話し合いましょう。
【改 善 例】しっかり話し合いましょう。

親密さと軽々しさは紙一重と忘れない

いかがでしたか? 知らず知らずのうちに、メールの中で使っていたという人も多いのではないでしょうか。

もっとも、以上のような文面のすべてを否定するわけではありません。言葉や表現の良し悪しは、相手との関係性や親密度によっても変化するものだからです。

たとえば、メールを送る相手が気心の知れた社内の同僚であれば、許される言葉や表現もあるでしょう。同期入社で5年も一緒にいるのに、いつでもバカ丁寧な敬語のメールを送りつけるのは、それはそれでコミュニケーション不全といえるかもしれません(相手がそのコミュニケーションを望んでいるなら別ですが)。

いずれにしても、上司や取引先、お客様相手のメールで「軽々しすぎるメール」を書くのは禁物です。場合によっては、あなたの信用を落とすだけではなく、会社のメンツも潰しかねません。とりわけ注意すべきは「話し言葉」「乱れた言葉」「スラング」の3点です。友人と気軽にチャットをするノリで仕事のメールを書いてしまわないよう十分に注意しましょう。

このエントリーをはてなブックマークに追加

そもそも文章ってどう書けばいいんですか?

「文章を書くことがストレス」「書くのに時間がかかりすぎる」「そもそも頭のなかにあることを文章にできない」……本書はそうした「文章アレルギー」のある人たちに、マンガを織り交ぜながら、わかりやすく文章の書き方をレクチャーしていきます。

著者:山口拓朗

価格:¥1,400-(税別)

オンラインストアで購入する

テキスト採用など、大量・一括購入に関するご質問・ご注文は、
弊社営業部(TEL:03-3268-5161)までお問い合わせください。

ページのトップへ