実務よろず相談室

本コラムは日本実業出版社が発行、エヌ・ジェイ出版販売株式会社が販売する企業向け直販月刊誌「企業実務」内に掲載されているコラムを転載したものです。

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著者プロフィール

月刊「企業実務」は、総務・経理・人事といったスタッフ部門が抱える日常業務についての諸問題をわかりやすく解説・アドバイスするビジネス実務誌です。

1962年の創刊以来理論より実践を重んじ、仕事をすすめるうえで必要な実務情報や具体的な処理の仕方を正確かつわかりやすく、タイムリーにお届けしている本誌は、経理・税務・庶務・労務の事務一切を凝縮した、“すぐに役立つ専門誌”として好評を博しています。

会社の実務相談 「養育費分の差し押さえ対応/オークションで備品購入の経理処理」

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2019/03/14 09:35

(photo by Emi-s/fotolia)

企業の経理・総務担当者が職場で直面する、規定集・法規集などに答えが見当たらない疑問、状況がレアケースすぎてそのまま規定を当てはめていいのかどうか迷う悩みに、プロの実務家・専門家が答えます!

※本コラムの内容について※
本コラムは、月刊「企業実務」内で連載されている同名の連載を再編集したものであり、関連法規・規定等については公開時点のものに準拠しています。

今回の実務相談

Q.給料から養育費を差し押さえたいという要請が…

従業員50名の雑貨卸売業の経理課長です。社員の元配偶者を名乗る女性から「養育費が支払われていないので給料を差し押さえたい」という電話がかかってきましたが、どう対応すればよいでしょうか。

A.差押えは裁判所からの通知に基づき行なうもの(回答者:弁護士 清野訟一)

差押えが行なわれた場合、裁判所から貴社に対し、給料債権が差し押さえられたこと、給料の一部については元夫に支払ってはいけないことなどが書面で通知されます。裁判所からの通知が届いた場合には、適法に給料の差押えが行なわれたということになりますので、裁判所からの通知に従って、給料の一部を女性に支払うか、法務局に供託する必要があります。

したがって、女性から電話があったという段階では、貴社は、権利者か否か確認ができない者に対して社員に支払うべき給料を支払うことはできません。女性に対しては、裁判所からの通知がない限り、給料を女性に対して直接に支払うことはできない旨を伝えるべきということになります。

差押えできる額には制限がある

なお、給料債権の差押えについては、無制限に給料の差押えを認めてしまうと債務者の生活に支障が生じます。そのため、養育費に基づく給料債権の差押えの場合、毎月の給料の2分の1に相当する部分(2分の1に相当する部分が33万円を超えるときは33万円に相当する部分)については差押えが禁止されています(企業実務 17年9月号より転載)。

回答者プロフィール:せいの・しょういち

祝田法律事務所パートナー弁護士。企業法務を専門とし、M&A、グループ内組織再編、コーポレートガバナンス、取締役会運営支援、株主総会指導等に詳しい。


Q.ネットオークションで会社の備品を入手するときの経理処理

ネットオークションで会社の備品を入手したいと思っています。個人のクレジットカードによる支払いを相手が求めている場合など、どのように処理すればよいでしょうか。

仕入税額控除が認められるには(回答者:税理士 小林俊道)

会社で使用する物品をネットオークションなどで購入するとき、その代金を会社の口座から送金できるのであればわかりやすいのですが、システム上、「かんたん決済」など、個人口座からの処理を余儀なくされることも多いようです。

その場合、購入者(従業員)がいったん立て替えて支払ったとして、立替金として処理するのが簡便です。領収書を受け取ることができないケースであれば、購入代金の決済画面や取引結果の照会画面等を印刷しておくとよいでしょう。

仕入税額控除が認められるには

また、事業者ではない個人からの購入に消費税の仕入税額控除が認められるのか、という問題があります。

この点については、免税事業者や消費者から仕入れた場合でも、その支払った対価の額は消費税・地方消費税込みの金額とされ、仕入税額控除を行なうことができる、とされています(消費税法基本通達11-1-3)。個人からの仕入でわかりやすいケースとして、自動車ディーラーが新車を販売するときに、個人の車の下取りをする(すなわち消費者から車を仕入れる)ことが挙げられます。

なお、仕入税額控除の適用を受けるには、「帳簿及び請求書等を保存しなければならない」という要件があります(消費税法30条7項)。この点も、帳簿については立替処理の際の精算書があるでしょうし、請求書等については取引のログや決済画面を打ち出したものや宅配便等の差出人記載のある荷札等の保存があれば容認されると思われます。

あわせて、何らかの形で購入した物品を「会社で使用している」ことが明確になるような資料は残したいところです(企業実務 17年9月号より転載)。

回答者プロフィール:こばやし・としみち

税理士小林俊道事務所所長。本田技研工業(株)を経て、税理士として独立、中堅中小企業コンシェルジュとして活動。著書に『ケースで理解する交際費・接待費の税務ポイント』等がある。

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