日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2019/02/12 16:13
7日に放送された、NHK「日本人のおなまえっ!」の檜枝岐村特集が話題を呼んでいた。
村にはもともと3つの名字しかなく、すべて落人に由来すること、そして人が住んでいることを悟られないように、鯉のぼりを挙げない、鶏や犬を飼わない、村人以外には土地を売らない、という習慣が今でも続いていることに驚きを隠せない。
村で一番多いのが最も早く村に住み着いたという「星」さん。藤原姓で紀伊国牟婁郡星の里から来たと伝えられているが、「星の里」というのは和歌山県南部だろうというだけで正確な場所ははっきりしない。何しろ、平安時代初期に落ちて来たということで、もはや探りようがない。
そして「星」という名字は会津地方一帯から県境を越えた新潟県魚沼市にまで広く分布しており、この地域ではごく普通の名字である。
次いで来村した「平野」は源平合戦の平家の落人。名字に「平」という漢字を残しているのは、平家の末裔であることを仄めかしているのだろう。
最後にやってきた「橘」さんは、戦国時代の伊勢の楠氏の落人という。楠氏は楠木正成の子孫といわれ、姓は橘。やはり「橘」と名乗ることでその出自を示していると思われる。
そして、「星」「平野」「橘」はいずれもありふれた名字であることから、名字を聞いただけでは落人であるかどうかはわからない。「落人の名字を教えてください」と言われることがあるが、全国の落人が共通して名乗る名字というのは存在しない。