日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2019/01/15 09:46
NHK大河ドラマ「いだてん」は、13日の2回目の放送から、主人公金栗四三の子ども時代が始まった。
いつもなら、この回で「金栗」という名字の由来を書くのだが、実は17日の「日本人のおなまえっ!」で「金栗」の由来が紹介されるので、詳しくはそちらをみていただきたい。ということで、もう1人の主役で物語の進行役でもある、古今亭志ん生の名字についてみてみたい。
もちろん「古今亭」は落語家としての名前で名字ではない。志ん生の本名は美濃部孝蔵といい、旗本の子孫であった。美濃部のルーツは滋賀県甲賀市の地名。室町時代から近江国甲賀郡に勢力を持っていた菅原姓の一族で、いわゆる「甲賀忍者」の家系だ。
しかも、実際に各地に派遣された忍者ではなく、そうした忍者を束ねていた一族である。本能寺の変の際、堺を遊覧していた徳川家康が、わずかな供とともに帰国するにあたって、美濃部茂濃が近江信楽から伊勢白子まで送った関係から、その子茂益が家康に仕え、江戸時代には旗本となっていた。
明治維新で幕府が崩壊すると、旗本は家禄を失って貧窮する家も多かった。志ん生もそうした家の一つで、孫である池波志乃さんの家には系図や武具が伝わっているという。