本コラムは日本実業出版社が発行、エヌ・ジェイ出版販売株式会社が販売する企業向け直販月刊誌「企業実務」内に掲載されているコラムを転載したものです。
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2019/01/10 16:46
企業の経理・総務担当者が職場で直面する、規定集・法規集などに答えが見当たらない疑問、状況がレアケースすぎてそのまま規定を当てはめていいのかどうか迷う悩みに、プロの実務家・専門家が答えます!
※本コラムの内容について※
本コラムは、月刊「企業実務」内で連載されている同名の連載を再編集したものであり、関連法規・規定等については公開時点のものに準拠しています。
従業員20名のアパレルメーカーの管理部長です。仕入先が近々廃業する、という噂を耳にしました。後継者もおらずやむを得ないとは思いますが、損失を被らずにスムーズに対応するため注意すべき点をご教示ください。
後継者難から事業をたたむということもたしかに珍しくありませんが、まずはその噂が本当なのかを確かめてください。仕入先が自ら廃業という手段を選ぶなら、現在の債権・債務については清算できる見込みがあるのだと思われます。
とはいえ、現時点で自社の債権・債務がいくらあるのかをきちんとチェックし、支払いや回収に不備がないようにしておきたいところです。
また、場合によっては別の影響があることを想定しておきましょう。それは、廃業する仕入先の代わりとなる調達先が確保できるかどうかです。貴社が仕入れている素材が、たとえば特殊な加工をした生地などであれば、同等のものを同じような条件で安定して仕入れることができるのか、早急に確認する必要があります。
貴社と長年付き合いがあった仕入先なら、双方意識していなくても取引条件が優遇されている場合がありますから、候補先に早めに打診しましょう。代替先のあてがなければ、廃業する仕入先に直接、相談してみる手もあります(企業実務 17年6月号より転載)。
有限会社タカザワ企画代表取締役。機械要素品卸売業の営業を経て経営・セールスコンサルタントとして独立。一般社団法人埼玉県中小企業診断協会会長等も務める。
従業員30名の素材製造販売業の総務部長です。著しくクレームを受けることの多い営業担当者がいます。上司の営業部長はあまり気にしていないようですが、電話を受ける事務担当者に不満が溜まって困っています。
自らに責任がないことであっても、クレーム対応というのは心理的負担の大きい仕事です。とはいえ、どれだけ周囲に不満が溜まっていようと、その営業担当者を指導する立場にあるのは直属の上司です。役職・職位が上でも、他部門の人間が直接注意をするわけにはいきません。
また、いい加減な受注がいかに他部門を困らせているかということを、その営業部長に理解させない限りは、形式的な注意が行なわれたとしても、当人の行動が改まることはないでしょう
そこで、当人や営業部長よりも、むしろ経営者や役員に働きかけて、「クレーム撲滅」を会社の方針として打ち出すことを考えましょう。そうした方針が打ち出せれば、クレームを生むような営業活動は営業部門全体の評価ダウンにつながるということになり、当事者意識の醸成にも寄与することでしょう。
また、上司の側も、単に「営業担当者に対するクレームが多いので注意してくれ」といわれてもぴんとこないものです。いつ、誰宛に、どのようなクレームが入ったのか、どのように事態を収拾させたのか。記録をとって、情報を整理し、目に見える形にまとめましょう。キャンセルの増加による販売機会の喪失など、売上へのマイナスがデータとして可視化できるのであれば、その上司を理解させる有効な手段となり得ます。
あるいは、事務担当者がクレーム対応でどれだけの時間拘束されたかを記録しておけば、クレームの影響を「定量化」することにつながります(企業実務 17年7月号より転載)。
有限会社タカザワ企画代表取締役。機械要素品卸売業の営業を経て経営・セールスコンサルタントとして独立。一般社団法人埼玉県中小企業診断協会会長等も務める。