アナウンサー・渡辺由佳が解説「こんなときどう言う?」

「私の言うことって、どうしてうまく伝わらないのだろう」
「あのとき言ったことで、なぜムッとされたのだろう」
言葉は、自分が思っていた通りに受け取られないもの。「それを適切に言い換えるとすれば?」というテーマで好評を博したコラムがリニューアル!

職場に限らず、日常会話でもよくある「こんなときどう言えばいい?」という疑問の答えを、テレビ朝日を退社後、フリーアナウンサーや話し方講座の講師として活躍する渡辺由佳氏が解説します!
(毎月第2・4水曜日更新予定)

著者プロフィール

渡辺由佳(わたなべ・ゆか)

1964年、東京都生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科卒業。テレビ朝日にアナウンサーとして入社。報道から社会情報番組まで多数の人気番組を担当。1993年に独立。以後、フリーアナウンサー、話し方講師としての活動を始め、テレビ朝日アナウンサースクールやシェリロゼ(自分磨きスクール)で指導を行なうほか、「ビジネスマナー」「コミュニケーション」「ビジネスメール」をテーマに企業向けのセミナー講師も務める。2016年より大妻女子大学文学部非常勤講師を務める。

著書に、『会話力の基本』(日本実業出版社)、『スラスラ話せる敬語入門』『サクサク書けるビジネスメール入門』(以上、かんき出版)、『気の利いた「ひと言」辞典』(講談社)などがある。

ブログ:渡辺由佳の素敵なことば探し
http://ameblo.jp/sutekinakotoba/

空気を変える、行き詰まった場面でのひと言

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2018/12/21 11:46

(photo by Freedomz/fotolia)

会議の席で、議題の結論がなかなか出なかったり、何もよいアイデアが出なかったりしたときは、その場の空気がとても重くなるものです。そのようなときに、その場の空気を一変させるような気の利いたひと言が言えると、その人の株は、間違いなく上がるはずです。

【改善前】

今日はもうだめだから、明日にしよう!

【改善後】

明日になったら、さなぎが蝶になるかもしれないね。

比喩を上手に活用する

議題が行き詰まってしまったようなときには、比喩を用いたひと言がおすすめです。「今日はだめだから、明日にしよう!」と言うと、今日という日の会議の意味がなくなってしまう印象を与え、明日に向けてのモチベーションが下がる言い方です。

一方、「明日になったら、さなぎが蝶になっているかもしれませんから、続きはまた明日で」と言うと、明日には何か素晴らしいアイディアが生まれそうな予感がします。その他にも、「ちょっと焦げ付き始めたので、少し休憩にしましょうか」「各部に持ち帰って、少し熟成させてきましょうか」など、料理やワインになぞらえると、そのセンスのよい表現に聞き手の心も和らぎ、次の展開にも移りやすくなるでしょう。

あえて、ボケたひと言も

話術の1つに、ボケと突っ込みというテクニックがあります。私の話し方講座の生徒さんの話です。東京と栃木を結ぶテレビ会議に出席した際、テレビの向こうのメンバーがなかなか集まらず、イライラした空気が漂い始めました。そのとき、「時差ですかね」とわざとボケたひと言を言って、その場を和ませることができたということです。

行き詰まってしまったときにこそ、センスのよいひと言でその場の空気を和ませたいものです。


本連載は、企業の総務・経理・人事向け月刊専門情報誌「企業実務」から一部編集のうえ転載したものです。ご購読・見本誌をご希望、お問い合わせにつきましては下記バナーをクリックしてください(関連会社のサイトに遷移します)。

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