本コラムは日本実業出版社が発行、エヌ・ジェイ出版販売株式会社が販売する企業向け直販月刊誌「企業実務」内に掲載されているコラムを転載したものです。
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2018/12/13 11:23
企業の経理・総務担当者が職場で直面する、規定集・法規集などに答えが見当たらない疑問、状況がレアケースすぎてそのまま規定を当てはめていいのかどうか迷う悩みに、プロの実務家・専門家が答えます!
※本コラムの内容について※
本コラムは、月刊「企業実務」内で連載されている同名の連載を再編集したものであり、関連法規・規定等については公開時点のものに準拠しています。
従業員20名の町工場です。当社は60歳定年で以降は嘱託として1年契約のフルタイムの嘱託という形にしていますが、加齢とともに体調を崩す社員も見受けられ、雇止めの判断基準が欲しいです。
高年齢者雇用安定法によると、就業規則などに定められた定年が65歳未満である事業主は、定年の引上げ、または再雇用などの措置を講じなければなりません。そして、労働者が希望する場合には、就業規則に定める解雇または退職の事由に該当しない限り、65歳まで継続して雇用しなければならないとされています。
ただし、高年齢者雇用安定法は、すべての労働者を65歳まで雇用する義務を課しているわけではありません。労働者が65歳までの継続雇用を期待するような状況でない限り、年齢以外に「客観的に合理的で社会通念上相当」な理由があれば、65歳以前で雇止めとすることも可能です。
雇止めを判断する基準の例としては、「職務遂行能力(ミスが増加していないか)」「健康状態(職務の遂行を支障なく行なうことができるか)」「遅刻や欠勤など勤怠の状況」などがあります。こうした基準については、雇用契約書などに明記して労働者に周知しておくことが必要です。
現在のところ65歳以降の雇用確保を義務づける法律はないため、嘱託としての就業規則および雇用契約書に「契約更新は原則として65歳に達するまでとする」と明記し、会社が必要とする労働者のみさらに1年契約で嘱託とします。これには会社の裁量で雇止めを行ないやすくする狙いがあります。
ただし、65歳以降の契約においても相応の「客観的に合理的で社会通念上相当」な理由は求められるため、雇止めもしくは再契約の基準を雇用契約書などに明記するべきでしょう。
なお、2013年4月1日以降に開始した有期雇用契約については、労働契約法により、通算期間が5年を超え、かつ労働者側から申し出があったときは、期間の定めのない労働契約とみなされ(無期雇用への転換)、雇止めをもって退職とすることができなくなるので、注意してください。
定年以降に有期での再雇用契約とする場合には、あらかじめ都道府県労働局長の認定を受けることでこの規定の対象とならない特例があります。その条件と手続きも確認しておきましょう(企業実務 17年6月号より転載)。
東京人事労務ファクトリー代表。ベンチャー・中小企業を中心に、年間100社を超える労働保険・社会保険手続きや、労務問題の解決、サポートを手がけている。
社歴2年目の総務担当者です。役員から「お世話になった方の家族と会食をすることになったので、若い人のセンスで適当に場所を予約してほしい」という指示があり、どのような店を選べばよいのか困っています。
最も大切なことは事前のリサーチです。本来は先方の連絡担当者と親しくなっておくことですが、今回は上司から情報を引き出す必要があります。
「食べログ」などに各店舗の顧客単価が表示されていますので、目安になります。
苦手な食べ物があれば前もって、店側に伝えておく配慮が必要です。「お料理は何にしますか?」と聞くのは避け、前もってコース料理を予約します。
接待される側の立場になって考えた、アクセスのよい会食場所を選ぶようにしましょう。電車や徒歩の場合は駅に近い場所、自家用車で来る場合は駐車スペースの確保を視野に入れて接待・会食場所を手配する必要があります。
小さなお子さんがいらっしゃる場合は、個室で座敷が喜ばれます。ご高齢の方は足が不自由だったりすることもあるので、掘りごたつ式、テーブル席などが好まれます。接待される側がどのような席だとくつろぎやすいかを考えて席選びをしましょう。
最近では、公共の場での喫煙がNGということが多くなりました。お客様が愛煙家の場合、部屋の近くに喫煙室があるのかなど調べておきます。
候補とする店に実際に足を運んでみると、店の雰囲気、内容、普段の客層、従業員のマナーもチェックできます。大変でしょうが、上司がお世話になっているご家族への感謝の気持ちに代えて楽しんでいただく、喜んでいただくための接待です。総務担当者であれば、今後も役立つ経験となるはずです(企業実務 17年6月号より転載)。
1982年関西作法会を設立、会長に就任。1998年トータルマナー株式会社設立。一般企業、医療機関・福祉施設、大学・専門学校などでのマナー研修は好評を博している。