日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2018/11/26 10:41
収録後、新大阪で1泊したのち、翌日再び京都郊外を散策した。最初に訪れたのが、伏見区に見られる不思議な地名の地域。京阪本線の丹波橋駅で降り、東方向に少し歩いて近鉄線を渡ったあたりが京都市伏見区筒井伊賀東町という長い地名。そして、JR奈良線を越したところから次々と不思議な地名が登場する。
奈良線の東側が京都市伏見区桃山福島太夫西町。「京都市伏見区桃山」までは普通の地名だが、その下に「福島太夫」という人名が入っている。福島太夫はというのは豊臣秀吉の家臣福島正則のことだ。さらにこの中が西町・北町・南町に分かれており、とんでもなく長い。
そして、ここから伏見城の麓一帯に「桃山長岡越中南町」「桃山毛利長門東町」「桃山町松平武蔵」「桃山町本多上野」「桃山町板倉周防」……と、人名由来の地名が並んでいるのだ。
住宅地である上に1つの町域が狭いことから、なかなか地名の入った看板などを見つけられず、町内を右往左往した結果やっと何枚かの写真をとることに成功した。
慶長2年(1597)、豊臣秀吉は慶長の大地震で倒壊した旧伏見城(指月伏見城)のかわりに、新たに木幡山に伏見城を築城した。すると、各大名たちが次々と城下に屋敷を建立したことから、その屋敷の場所がそのまま地名となったものだ。
こうした由緒ある地名がそのまま残っているあたりが、いかにも京都らしいといえる。