日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2018/11/20 09:24
NHK「日本人のおなまえっ!」は今週から3週連続して京都特集。私が出演しているのは2週目の1回だけだが、当然京都まで収録に行ってきた。まだ紅葉には早いシーズンだったが、京都までいってトンボ帰りはもったいない。
収録後に回ったのは主に京都市内。手配してもらったタクシーで下鴨神社に行き、そこから西園寺まで歩いた。あこがれの名字というアンケートを取ると、必ず上位に入る「西園寺」という名字のルーツだ。
西園寺家は公家の名家で藤原北家の一族。鎌倉時代初期の元仁元年(1224)に公経が北山に建立した西園寺という寺に由来している。以来公経の子孫は「西園寺」を名字として鎌倉時代には大きな力を持っていた。幕末に徳大寺家から養子となった公望は明治維新の際に活躍、明治39年(1906)首相となり、大正9年(1920)には公爵を授けられ、大正末期から昭和初期にかけて「最後の元老」と言われて大きな影響力を持った。
この西園寺、足利義満が北山第を造営するにあたり室町に移転、さらに鞍馬口に移転して現存しており、境内には西園寺家の墓地もある。大寺院のひしめく京都の中ではひっそりとした存在で、ガイドブックにも載っていないことが多く、私が訪れたときも他には誰もいなかった。