日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2018/11/05 16:58
今年のプロ野球日本シリーズは、パリーグ2位だったソフトバンクが広島を4勝1敗1分でくだし、リーグ2位からの「下剋上」による日本一となった。このシリーズで注目を浴びたのが、6試合で広島の試みた6回の盗塁をすべて刺して「甲斐キャノン」と呼ばれたソフトバンクの捕手、甲斐拓也選手だ。育成ドラフト出身として初めてのシリーズMVPを獲得し、捕手としても2009年の阿部慎之介以来の受賞となる。
甲斐というと、かつての甲斐国(山梨県)をイメージする。しかし、甲斐拓也選手は大分県の楊志館高の出身。野球留学ではなく地元大分県出身の選手である。実は、これまでに「甲斐」というプロ野球選手は6人いる。そのうち4人が九州の出身である(残り2人は長野県とハワイ)。
甲斐という名字は確かに甲斐国に由来している。しかし、圧倒的に多いのは宮崎県と大分県だ。この地域の「甲斐」は熊本の有力豪族菊池氏の一族が、一時甲斐国に住んで「甲斐」を名字としたのが祖。後に九州に戻って日向国高千穂の有力豪族となり、以後、宮崎・大分両県の県境付近に広がった。
現在では、宮崎県で2位、大分県で10位という、極めて多い名字となっている。