アナウンサー・渡辺由佳が解説「こんなときどう言う?」

「私の言うことって、どうしてうまく伝わらないのだろう」
「あのとき言ったことで、なぜムッとされたのだろう」
言葉は、自分が思っていた通りに受け取られないもの。「それを適切に言い換えるとすれば?」というテーマで好評を博したコラムがリニューアル!

職場に限らず、日常会話でもよくある「こんなときどう言えばいい?」という疑問の答えを、テレビ朝日を退社後、フリーアナウンサーや話し方講座の講師として活躍する渡辺由佳氏が解説します!
(毎月第2・4水曜日更新予定)

著者プロフィール

渡辺由佳(わたなべ・ゆか)

1964年、東京都生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科卒業。テレビ朝日にアナウンサーとして入社。報道から社会情報番組まで多数の人気番組を担当。1993年に独立。以後、フリーアナウンサー、話し方講師としての活動を始め、テレビ朝日アナウンサースクールやシェリロゼ(自分磨きスクール)で指導を行なうほか、「ビジネスマナー」「コミュニケーション」「ビジネスメール」をテーマに企業向けのセミナー講師も務める。2016年より大妻女子大学文学部非常勤講師を務める。

著書に、『会話力の基本』(日本実業出版社)、『スラスラ話せる敬語入門』『サクサク書けるビジネスメール入門』(以上、かんき出版)、『気の利いた「ひと言」辞典』(講談社)などがある。

ブログ:渡辺由佳の素敵なことば探し
http://ameblo.jp/sutekinakotoba/

信頼関係を失わない断わり方

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2018/10/19 11:08

(photo by hikdaigaku86/fotolia)

他社からの提案や依頼を受けて、会社としてのNOの結論を相手に伝えるとき、「私はぜひ、お引き受けしたいと思うのですが、上司がダメだというものですから」と上司に責任を転嫁すると、かえって自分の信頼を損ないかねません。

【改善前】

上司が無理だというものですから。

【改善後】

申し訳ございません。今回の条件でお引き受けするのは厳しいのですが、次回、もし○○の条件でしたら……

会社の結論は自分の結論

会社の結論と自分の結論が異なると、相手は混乱し「それならば、あなたではなく、あなたの上司と交渉をしたほうが早いでしょう」ということになってしまいます。あくまでも、会社の代表として仕事をしているわけですから、会社の結論をきちんと相手が納得してくれるように説明するほうが、ずっと信頼度が増します。

断わり方の3ステップ

日本語はNOのニュアンスがとても強く相手に伝わる言葉です。「できない=やる気もない」「間に合わない=間に合わせる気もない」「在庫がない=売る気もない」という印象に聞こえてしまいます。ですので、断わるときには次の3つのステップが必要です。

  1. お詫び
  2. 理由
  3. 代案

たとえば、「相手から○日までに納品してほしい」と依頼されたならば、「○日までは無理です」ではなく、「申し訳ございません。工場の出荷スケジュールを確認しましたところ、○日までは厳しいのですが、あと2日納期を伸ばしていただければ、間違いなくお届けします」と伝えます。そうすれば、相手もこちらの前向きな姿勢を受け止めて、納得してくれる可能性が高まります。

「ビジネス会話はNOでは終わらせない」という鉄則があります。今回はNOだけれども、どうすれば別の形で受けられるのかなど、次につなげる言葉で会話は終わらせたいものです。


本連載は、企業の総務・経理・人事向け月刊専門情報誌「企業実務」から一部編集のうえ転載したものです。ご購読・見本誌をご希望、お問い合わせにつきましては下記バナーをクリックしてください(関連会社のサイトに遷移します)。

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ちょっとしたひと言で、誤解や気持ちのすれ違いはスッキリなくなる! 言葉が生まれる前の「気持ち」をていねいに掘り下げながら、相手に好印象を与える「モノの言い方」を、NGとOKを対比し、どのように言い換えればよいのかを解説します。

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