日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2018/10/09 09:58
今週は、前回のあとを受けて旗本勝家のことを書く予定だったが、1日の本庶佑京大名誉教授のノーベル医学生理学賞受賞を受けて、急きょ「本庶」という名字について見てみたい。
「本庶」は富山市の名字で、全国でもおそらく10世帯未満と極めて珍しい。本庶佑氏は山口県の出身だが、これは父の正一氏が山口大学医学部教授だったから。そして、正一氏は富山県の出身である。
現在の富山市百塚付近は、江戸時代は越中国婦負郡本庄村と言われていた。そして、この「本庄」という地名は、「本所」と書かれることもあったようだ。つまり、「ほんじょう」ではなく、「ほんじょ」とも呼ばれていたことになる。また、少し離れた同市中老田には本庄山専称寺という浄土真宗の寺もある。
そもそも「本庄」とは「本来の荘園」という意味。荘園の範囲が広がった際に、新しくできた荘園を「新庄」や「別符」といい、もとからあった荘園のことを「本庄・本荘」といった。
本庄村と本庄山は、おそらく元は同じで、この付近一帯が「本庄」だったのだろう。そして、「本庄」を「ほんじょ」と読み、「本庶」という漢字をあてて名字にしたのではないだろうか。