アナウンサー・渡辺由佳が解説「こんなときどう言う?」

「私の言うことって、どうしてうまく伝わらないのだろう」
「あのとき言ったことで、なぜムッとされたのだろう」
言葉は、自分が思っていた通りに受け取られないもの。「それを適切に言い換えるとすれば?」というテーマで好評を博したコラムがリニューアル!

職場に限らず、日常会話でもよくある「こんなときどう言えばいい?」という疑問の答えを、テレビ朝日を退社後、フリーアナウンサーや話し方講座の講師として活躍する渡辺由佳氏が解説します!
(毎月第2・4水曜日更新予定)

著者プロフィール

渡辺由佳(わたなべ・ゆか)

1964年、東京都生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科卒業。テレビ朝日にアナウンサーとして入社。報道から社会情報番組まで多数の人気番組を担当。1993年に独立。以後、フリーアナウンサー、話し方講師としての活動を始め、テレビ朝日アナウンサースクールやシェリロゼ(自分磨きスクール)で指導を行なうほか、「ビジネスマナー」「コミュニケーション」「ビジネスメール」をテーマに企業向けのセミナー講師も務める。2016年より大妻女子大学文学部非常勤講師を務める。

著書に、『会話力の基本』(日本実業出版社)、『スラスラ話せる敬語入門』『サクサク書けるビジネスメール入門』(以上、かんき出版)、『気の利いた「ひと言」辞典』(講談社)などがある。

ブログ:渡辺由佳の素敵なことば探し
http://ameblo.jp/sutekinakotoba/

忙しそうにしている人を気づかう声のかけ方

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2018/09/21 11:53

(photo by imtmphoto/fotolia)

年度や上期・下期の切り替わりにあわせて異動や転勤の辞令が出る会社は多く、そうした時期は連日のように歓送迎会が開催されることも珍しくありません。参加する人も大変ですが、幹事を務める人は普段の仕事に加えさらに忙しいことになります。また、それ以外でも何かと忙しそうにしている人に、どう声をかけてよいものか。ちょっと迷いますよね。

【改善前】

今回も幹事ですか? 大変ですね。

【改善後】

○○さん、お疲れ様です。何かお手伝いできることがあったら、おっしゃってくださいね。

同情はかえって仇になる?

「今回も幹事ですか? 大変ですね」と同情したら、相手はどう思うでしょうか。「ほかにやる人がいないから仕方なくやっているんだ。そう思うならやってくれよ!」とかえって反感を買いかねません。とくに幹事のように善意に基づく場合はなおさらです。

また、残業で忙しくしている人に声をかけるときにも注意が必要です。昨今では、残業をしている人たちが、その姿を格好いいと思っている可能性は低いでしょう。そのような人に「大変ですね」は、「仕事の効率が悪い」と言ったように受け取られるリスクもあります。

手伝いを申し入れるときは慎重に

相手が忙しそうにしているときは、相手の労をねぎらう言葉としての「お疲れ様です」ならば素直に受け取ってもらえるでしょう。もし余裕があるときは、「何かお手伝いできることがあったら、おっしゃってくださいね」という一言を加えれば、あなたの思いやりがしっかり相手に伝わります。

ただ、残業をしている人に対しては、相手の仕事が自分の守備範囲のときだけ、声をかけたいものです。下手に声をかけてしまって、「それじゃあ○○を頼める?」と言われたときに、苦手なことでも断われなくなり、かえって手間取って迷惑をかけてしまうかもしれません。

そんなときは、「○○さん、お疲れ様です。すみませんが、お先に失礼します」と声をかけるだけで十分です。


本連載は、企業の総務・経理・人事向け月刊専門情報誌「企業実務」から一部編集のうえ転載したものです。ご購読・見本誌をご希望、お問い合わせにつきましては下記バナーをクリックしてください(関連会社のサイトに遷移します)。

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