それから
「数字や人名」。仕事は決断の連続です。決断をうながし、仕事を前に進めるために必要な情報は、メモしてしかるべき重要情報です。数字や人名はとくに重要情報になりやすいので、メモしておきましょう。
たとえば 、
・「3年で投資回収できる見込みなら本投資案は承認する」の「3年」
・「商品部の佐藤さんの意見を聞いてからにしよう」の「佐藤さん」
などです。
これらはどちらも、「仕事の目的」に直結する情報です。会議や会話の1つひとつは、仕事の成果を生み出すためのものです。逆に成果と無関係な行動や情報は無駄ということになります。仕事の成果はなんなのか、その成果を生み出すために、なぜいま、どんな目的でこの会話・会議を行っているのか。それが見えればメモに落とすべき情報も、おのずと見えてくるはずです。
3. 記号を使い倒す
3つ目のポイントは、記号を使い倒すことです。
箇条書きで整理しつつ、会話の目的や議題に沿ってキーとなる情報のみをメモしようとしても、すべての言葉をメモに落とすのは難しいことが多いものです。
とくに専務や役員レベルともなると、発言の情報濃度が非常に高い場合が多く、意思決定にまつわる重要なロジックや情報が目白押しになるため、メモを取ること自体のスピードを高めないと立ち行かなくなります(情報濃度については、拙著『外資系コンサルは「無理難題」をこう解決します。』のCHAPTER2でも詳しく解説しています) 。
そこで活用したいのが、記号です。たとえば私は、
・因果を示す矢印「→」
・疑問を示すクエスチョンマーク「?」
・OK/NGを示す「○×」
・ToDoにはチェックマーク
・決定事項には星マーク「☆」
など、独自のルールを設けてメモの効率化をはかっています。
メモは自分しか見ないものなので、ルールは全部自分で決めて大丈夫です。自分が読めて意味がわかるメモを最速で書けるルールを、ぜひ作ってみてください。
メモは「記録」ではなく「要約」ととらえる
ご紹介した方法で実際にメモを取ってみると、かなり難易度が高いことだと気づくでしょう。言葉が端的で、パッと見るだけで理解できる。箇条書きの項目と項目の粒度がそろっていて、親子項目間の論理構造がはっきりしている。このような「美しく整理されたメモ」は、小手先のテクニックだけで書くことは難しいのです。
だからこそ、紹介したルールを守る練習をしてほしいのです。
最後に、情報が整理された箇条書きの美しいメモは、ほぼそのまま議事メモになります。このメモがあれば、独自ルールで使った記号を人が読んで分かる言葉に書き直すだけです。早く情報共有できるぶん、参加者がアクションを早く起こせます。議事録作成にかけていた1時間が、まるまるあなたの仕事時間になります。
たかだメモ、されどメモ。「メモは記録ではなく要約」と肝に銘じ、少しずつ鍛錬を積み上げることで、仕事の基礎力・思考力、スピードはどんどん上がっていきます。無駄を捨てる行いとは、自分を鍛える行いでもあるのです。
以上、「メモの無駄を断捨離」というテーマで最前線からお送りしました。