本コラムは日本実業出版社が発行、エヌ・ジェイ出版販売株式会社が販売する企業向け直販月刊誌「企業実務」内に掲載されているコラムを転載したものです。
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2018/08/09 11:54
企業の経理・総務担当者が職場で直面する、規定集・法規集などに答えが見当たらない疑問、状況がレアケースすぎてそのまま規定を当てはめていいのかどうか迷う悩みに、プロの実務家・専門家が答えます!
※本コラムの内容について※
本コラムは、月刊「企業実務」内で連載されている同名の連載を再編集したものであり、関連法規・規定等については公開時点のものに準拠しています。
従業員50名の製造業の総務部長です。うつ病の診断で半年ほど休職している従業員から、主治医ももう大丈夫そうだというので復職したい、という連絡がありました。復帰に際しての留意点を教えてください。
うつ病にもいろいろなケースがあります。休職を繰り返していたのか、あるいは今回が初めてなのかによっても異なりますが、基本的にはすぐにばりばり働いてもらおうというのではなく、徐々に慣れていってもらうようにします。その際、主治医や産業医と連携して、職場復帰をどのように進めていくのかを検討しましょう
一般的には、昼夜が逆転した生活が続くとうつ病が再発しやすくなる傾向があるといわれていますので、生活リズムは朝型にすることが大切です。半日勤務などの短時間勤務にするのであれば、朝の出社時間については通常どおりにして、午後は早めに帰宅させるようにしたほうがよいでしょう。
特別扱いをしようとするとかえって負担になることもありますから、飲み会などのイベントがあるときも必要以上に気をつかわず、「とりあえず誘ってはみるが、無理強いはしない」というようなスタンスで接するのがベターです。職場復帰を進めていくなかで、また遅刻しはじめた、という状態になったら、早めに本人に確認して対応しましょう。
いずれにしても、主治医や産業医によく相談して、「このくらいは大丈夫だろう」などと、素人判断で進めないことが大切です。(企業実務 16年12月号より転載)
合同会社オフィスプリズム代表。臨床心理士、社会保険労務士。企業のメンタルヘルスやハラスメント対策等についてのカウンセリングやコンサルティングに従事し、2000社以上の対応実績をもつ。メンタルヘルス等に関する著書多数。
ずっと請求を続けているのに、「いまは社業が厳しい」と、いつまでたっても債権を支払ってくれない取引先がいます。いくらかでも回収するには、債権者の側から破産を申し立てる手段があると聞きましたが……。
通常、破産といえば債務者自身が行なう自己破産をイメージすると思います。一方で、債権者の側から破産申立てを行なうことも可能です。破産手続きが開始されると、裁判所が選任した破産管財人が債務者(破産者)の財産状況を調査することになります。
その結果、債務者が隠している財産などが見つかれば、配当によって債権回収を行なうことが可能となります。もっとも、実際には破産管財人の調査によって破産者の隠し財産が見つかることはまれです。
一方で、債権者が破産申立てを行なう場合には、裁判所に債権額等に応じた予納金を支払う必要があります。予納金は、破産者に財産が認められる場合には、納めた者に返還されますが、そのような財産が見つからなかった場合には、返還されることはありません。
また、別途、実費と弁護士費用がかかります。債権者破産は、状況次第で難易度が異なるため、弁護士費用もそれに応じて高額化することがあります。
このように、債権者破産は“諸刃の剣”の要素が強く、債権回収策として取り得るケースは限られますが、体面を気にして破産だけは避けたいと強く思うような債務者にとっては、効果的な手段となることもあります。(企業実務 16年12月号より転載)
弁護士・公認会計士。みらい総合法律事務所を経て弁護士法人L&Aを設立。主な著書(共著)に、『ストーリーでわかる営業損害算定の実務』(日本加除出版)、『応用自在! 契約書作成のテクニック』(日本法令)、『ビジネス契約書の見方・つくり方・結び方』(同文舘出版)などがある。