「時間の断捨離」最前線

「こうしたほうが早くない?」が口癖の「効率マニア」ことNAE(なえ)さん。

外資系コンサルでIT戦略の策定・実行支援の仕事をするかたわら、日々の仕事で見つけた気づきや役に立った方法論を紹介するブログ「NAEの仕事効率化ノート」が注目を集めています。最近では、20代で徹底したい一生モノの「仕事の基本」をまとめた著書『外資系コンサルは「無理難題」をこう解決します。』も刊行され話題に。

本連載では「無駄な時間をゼロにする『時間の断捨離』最前線」と題して、仕事を効率化するため必要な、あらゆるトピックについて語っていただきます。

著者プロフィール

NAE(なえ) 
 
月10万PVブログ「NAEの仕事効率化ノート」運営者、外資系コンサルティング企業管理職

1980年代生まれ。早稲田大学・東京大学大学院で情報工学を学んだのち、外資系コンサルティング企業に入社。ITを軸とした戦略策定と企業変革に従事。金融業のM&Aに伴うシステム全体像の策定、小売業基幹システムのグローバル展開プランニング、製造業のIT戦略策定など、業界や国内外を問わず億円規模のプロジェクトを多数経験。 
 
その傍ら「テクノロジーの目利き」として、ITの進化に伴う将来のビジネスのあり方や影響を見通し啓蒙する活動に5年以上参画、ここ数年は社内の新入社員研修やクライアント企業の勉強会に講師としても活躍。「清く、正しく、泥臭く」をモットーに地に足ついたコンサルティングを得意とする一方、「こうしたほうが早くない?」が口癖の効率マニアでもある。 著書に『外資系コンサルは「無理難題」をこう解決します。』(日本実業出版社)がある。

Why/Whatを意識すれば、だらだらチャットはなくなる

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2018/06/19 16:08

意図的に会話を止める

少し強引ではありますが、「すぐに返事をしない」という方法は効果的です。チャットが雑談のようになってきたら、一旦返事をやめて放置してしまうのです。

感じの悪い対応だと思われるかもしれません。しかし、どうしても答えがほしい、もしくは今すぐにでも話したい内容なら、相手は返事を待ってでも会話を続けるはずですし、電話や口頭など別の手段で伝えようとしてくるはずです。

逆に、たとえば3分間放置した程度で相手が会話をあきらめるようなら、その話題は「それまでのもの」ということ。

このように意図的に会話のキャッチボールを止めることで、「返事が返ってくるからこそ続いてしまう雑談」「重要性の低い話題に関するやりとり」をストップさせることができます。

もし返事をせず放置するのに気がとがめるなら、一言「すいません。ちょっと急な用事が入りました」と打ち込んでチャットを閉じてしまってもよいでしょう。

どうしても話したければ「口頭」に切り替える

とはいえ、「Why/What」が明確でなくても、どうしても今すぐ話したい雑談や、話している中で盛り上がってしまった話題もあるでしょう。意識していても、ついつい「そういえば……」と横道にそれてしまうものです。

そんなとき、「会話の目的・ゴールから逸脱しているから」と会話を機械的に打ち切るのはよくありません。長期的な信頼関係、人間関係に響き、結果的に仕事のコミュニケーション効率を下げてしまうからです。

そのような場合は、可能であれば「口頭」に切り替えましょう。チャットで文字を打つより口で言うほうが早いので、会話も短い時間で終わらせられます。

たとえば、

・「ちょっと休憩室で話さない?」
・「話がこみいってきたからタバコいこう」

というように、今すぐ別の場所に誘う方法が有効です。

またTPOが許すのであれば、

・「この話はちゃんとしたいので、14時から会議室を取りますね」
・「なんか大変そうだし、今日飲みに行く?」

など、別途話す時間を取るのも良いでしょう。

チャットと口頭の使い分け

最後に、忘れてはいけないのが、チャットでは済まない、済ませてはいけないものもあるということです。たとえば、

・メールを使うことがルール化されているもの(正式な承認など)
・やりとりの証跡を確実に残すべきもの(証拠になりうる発言など)

などです。

とくに2点目、「証拠になりうる発言」については気をつけないとトラブルの原因になるので、注意が必要です。

Skypeなど一部のチャットソフトでは、デフォルトで会話履歴が保存されない設定になっているため、チャットウィンドウを閉じた瞬間に会話履歴が消えてしまいます。

SlackのようなWebベースのチャットサービスでは、プランによっては保存されるメッセージ数の上限が定められており、それ以上のメッセージはすべて自動削除されてしまします。

あとあと「言った・言わない」の水掛け論になりそうな話題については、チャットや口頭ではなく、確実に証跡が残るメールを使うようにしましょう。

成果につながらないチャットは断捨離する

・「Why/What」を明らかにする&させる
・意図的に会話を止める
・どうしても話したければ「口頭」に切り替える

以上3つのポイントを意識すると、「チャットまみれ」による無駄の多くを断捨離できるでしょう。

チャットは気軽に使えるため会話の機会を増やしますが、往々にして雑談に発展しやすいもの。雑談チャットに忙殺(?)されては仕事が進みません。これは「無駄な会議に時間を費やしつつ仕事した気になっている」のと根本的には同じ構図です。

もちろん雑談は人間関係構築に役立つので必要ではありますが、程度を見極めて、ときには勇気を持って断捨離してしまうことを、強くおすすめします。

以上、「チャットまみれによる無駄を断捨離する」というテーマで最前線からお送りしました。

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