人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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W杯代表、昌子選手の名字の由来

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2018/06/05 09:37

(画像は鹿島アントラーズ公式サイトよりキャプチャ)

5月31日、14日に開幕するロシアW杯のメンバー23人が発表された。平均28.17歳という過去最高の年齢であるなど、マスコミではいろいろと取りざたされているが、ここではそうしたことには触れず、名字についてのみ注目してみたい。

ところが、驚いたことに23人のうち22人は名字ランキングで5000位以内の普通の名字。しかも、槙野と東口が3000位あたり、大迫が1100位台なだけで、残りの19人はすべて1000位以内のメジャーな名字だ。その一方で、佐藤や鈴木、高橋といったベストテンに入る超メジャーな名字の選手も一人もおらず、とりあげづらい。

さて、23人中唯一5000位以下なのが、鹿島アントラーズの昌子源。名字の読み方は「しょうじ」だ。

「しょうじ」と読む名字は多い。もともとは荘園を管理した「しょうじ」に因むものが多く、様々な漢字を当てた。最多は「庄司」で、続いて「庄子」「東海林」「小路」「荘司」「正司」「正路」の順。8番目に多いのが「昌子」である。

それでも、全国ランキングでは10000位以内でそれほど珍しいわけではない。島根県北部の出雲地区に集中しており、他地区にはほとんどない。実はこの地域には「庄司」も多く、ここから漢字が変化したものと思われる。

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