効率化マニアの外資系コンサルが教える! 無駄な時間をゼロにする「時間の断捨離」最前線<第1回>
現役外資系コンサルとして膨大な仕事を最少の時間でこなしつつ、月間10万PVブログ「NAEの仕事効率化ノート」も運営するNAEさんに、ビジネスの現場で役に立つ時短術のコツを教わります。初回は、毎日何通も作成する「メール」の無駄を断捨離する方法について。
メール作成にどのくらい時間がかかっていますか?
あなたは1日に何本メールを書きますか? 1本あたり、どのくらい時間をかけていますか? 1日のなかでメール作成にかける時間はどれほどでしょうか?
1通あたり3分かかるとして、10通だと30分、20通も書けば1時間メールを書いていることに。なかなかのボリュームです。この時間を、本来自分が行うべき仕事に振り分けられるとしたら、いかがでしょうか?
とくに相手が上司やお客様の場合、文の順番や言葉遣い、相手に配慮する言いまわしや「お作法」など、伝えるべき内容=コンテンツと違うところで時間が食われてしまいがちです。 メール作成に時間をかけすぎるあまり、自分が本来行うべき仕事に時間が割けなくなるのは困りものでしょう。
たとえば以前、部下の新入社員がメールの末尾を「よろしくお願いいたします」と「よろしくお願い申し上げます」どちらにすべきか3分くらい悩んでいた……などということもありました。
これは極端な例ですが、必要以上に形式にとらわれて発生する「余計な手間」をそのままにしていてはいけません。 メールはコミュニケーションのツールである以上、コンテンツをきちんと「伝える」ことが目的のはずです。
そこで今回は、メールの目的である「伝える」を踏まえて、メール作成にまつわる「無駄」を断捨離して時短する方法をご紹介します。
そもそもメールが最適手段なのか見直す
メールを書く時間の無駄を減らしたければ、そもそもメールを書かなければ良いのです。つまり、さくっと口頭で話してしまいましょう。
「当たり前じゃないか」と思うかもしれません。しかし、すぐそこに相手がいるのにメールを書く人は意外と多いもの。声に出しづらい話題ならまだしも、そこまで行って話せば1分で終わるような用件のために、3分もかけてメールを書くのは無駄以外の何物でもありません。
言った言わないの行き違いや認識のズレをなくすために証跡を残す必要があるなど、何らかの事情でメールが必要なのであれば、話し終わったあとに「念のためメールに残しますか?」と聞けば良いでしょう。それで「いらないよ」となれば、メールは書かなくても良いんですから。
また、チャットも積極的に活用しましょう。チャットでは、一連のやりとりのなかで文脈が引き継がれるので、無駄に背景を説明する必要が減ります。加えて、「お疲れさまです」「よろしくお願いいたします」などのあいさつを省略できるのも良い時短ポイントです。
メールでは、たとえ気心の知れた相手であっても「お疲れ様ですXXです。下記の件、承知いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」と書きたくなるところが、チャットだと「了解です」の一言で済むのです。無駄な配慮や忖度がいらず、コミュニケーションのスピードがかなり上がります。
口頭やチャットを優先的に使えば、メール作成に3分や5分もかけずとも、1分で話が済むこともあります。
どうしてもメールという場合、作成時間短縮をはかる
とはいえ、口頭やチャットでは済ませられない場合もあります。たとえば、相談事項の背景を含めて共有したい場合、どうしてもやりとりを記録に残したい場合、また聞きされたくないセンシティブな話題、社外の人とのやりとりなどです。
その場合は、次の2点からメール作成の効率化を考えましょう。
「書く量を減らす」方法には、たとえばあいさつなどの定型文は最低限におさえる、冗長な表現を排除して1文あたりの情報濃度を上げる、箇条書きを駆使して要点のみを書く、などがあります。
具体的な時短のテクニックは、著書『外資系コンサルは「無理難題」をこう解決します』の紹介記事でくわしく取り上げているので、参考にしてください。
次に「時間あたりの入力量を増やす」方法には、単純にタイピング速度を上げる、変換精度の高い日本語入力ソフトを使う、予測変換を用いてタイプ量を減らす、「辞書登録」を活用する、などがあります。
特に「辞書登録」は強力です。辞書登録とは、漢字変換の候補に出てくるリストに独自の文言を追加できる機能です。たとえば、「おつ」とタイプして変換キーを押したとき、「お疲れさまです、XXです。以上、よろしくお願いいたします」と一発で出てくるように設定しておけば、大幅に時短できます。
「書く量を減らす」「時間あたりの入力量を増やす」の2点を徹底すると、日報メールのように定期的に送るものであれば、メール1通あたり3分くらいは短縮できるはずです。
外資コンサルにとって、長文メールはご法度
私の身近にいる仕事の速い外資系コンサルほど、相手を問わずフットワーク軽く話しかけに行く傾向があります。
相手が上司、上司の上司、すこし関係の悪い隣のチームメンバー、初対面の人間、誰であろうとその場に行って口頭で話すことを厭いません。
これはチャットでも同じです。名前も顔も一致しない海外オフィスメンバーでも、ステータスがオンラインであればチャットですぐに話しかけます。
逆に、相手の状況を考慮して長文メールでも送ったときには、直後に相手から「これどういうこと?」とチャットが飛んでくることも多いです。そしてその場で音声でのオンライン会議が始まることもしばしば。そのほうが時短になると、お互いに理解しているからです。
先ほど紹介した辞書登録など、すぐにできる時短は「やっていて当たり前」として入社1年目で教え込まれます。「お疲れさまです」をそのまま文字入力していると、逆に怒られるくらいです。
短い時間で高い成果を求められる外資コンサルだからこそ、分単位、秒単位の時短を徹底しているのです。
コスパの高い「辞書登録」をいますぐはじめよう!
私個人としては「口頭やチャットに切り換える」をおすすめしたいのですが、メールは相手あってのものですし、組織文化など社内の事情で一度にいきなり全面的にチャット化するのは難しい場合もあります。
そのため、まずは自分だけでもできる「入力の高速化」に取り組んでみてはいかがでしょうか。特に「辞書登録」はコスパ(時間対効果)の高い方法なので、すぐやってみることをおすすめします。
手始めに、過去の自分のメールを見てみてください。よく使っている定型文や言い回し、ありませんか? たとえば、「いつもお世話になっております」「○○社の□□です」「どうぞよろしくお願いいたします」といった表現です。それらを片っぱしから辞書登録していくだけでも、あなたのメール作成時間は3割くらい減らせるかもしれません。
運営しているブログの記事「PCでの日本語入力高速化のため辞書登録した単語一覧」にて、私が辞書登録している「よく使う言い回し」一覧を紹介しています。Google日本語入力をお使いの方なら一発でインポートできる辞書ファイルも配布していますので、ぜひご利用ください。
以上、「メール作成の無駄を断捨離する」というテーマで最前線からお送りしました。