『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる

「文章を書くことがストレスです」
「文章を書くことが苦手で……」
「文章を書くのに時間がかかります」

そんな「文章アレルギー」の人は多いのではないでしょうか? しかし、文章を書けるかどうかは、仕事の成果や周囲の評価に大きく関わります。

そんな文章に関する「困った」にやさしく応えてくれるのが、『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』を著書にもつ、山口拓朗さんです。

この連載では、これまでライターとして数多くの取材・インタビューを経験した中から導き出した、「書くことが嫌い」を「書くことが好き」へと変える、文章作成のコツを教えてもらいます。

著者プロフィール

山口拓朗(やまぐち・たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所所長。山口拓朗ライティングサロン主宰。出版社で編集者・記者を務めたのち、2002年に独立。26年間で3600件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「1を聞いて10を知る理解力の育て方」「好意と信頼を獲得する伝え方の技術」「伝わる文章の書き方」などの実践的ノウハウを提供。著書に『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)、『マネするだけで「文章がうまい」と思われる言葉を1冊にまとめてみた。』(すばる舎)、『1%の本質を最速でつかむ「理解力」』『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(以上、日本実業出版社)、『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』(明日香出版社)、『ファンが増える!文章術——「らしさ」を発信して人生を動かす』(廣済堂出版)ほか多数。

「文章を書くことが苦手」な人の理由と、その解決策とは?

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2018/06/06 16:50

(photo by chappy/photoAC)

一生モノのスキルになる! 『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる方法<連載第1回>

伝える力【話す・書く】研究所を主宰し、「文章の書き方」に関する著書も多い山口拓朗さんに書き方のコツを教わります。初回は、「文章を書くことが苦手」な理由とその解決策について。

文章って「何」を「どう」書けば正解なの?

「このなかで『自分は文章を書くのが得意です』という方がいたら手を挙げてください」

講演や研修、セミナーの開始直後に、私はよくこの質問をします。100人いる会場でどれくらい手が挙がると思いますか? せいぜい1人か2人。少ないときは0人です。

それにしても、なぜここまで手が挙がらないのでしょうか。その理由は「文章の書き方を習ったことがないから」です。日本の国語教育は読解力が中心で、文章作成のスキル習得にあまり力を入れていません。文法や漢字、品詞、熟語などを断片的に学びこそしますが、「読む人に伝わる文章の書き方」を体系立てて教えてはくれません。

それにもかかわらず、日記、作文、感想文、レポートなど、私たちは文章を書かされ続けてきました。そして、書くたびに苦労を強いられ……、うまく書けたかどうかもわからず……、先生からたいしたフィードバックももらえず……、少しずつ自信を失っていった……のではないでしょうか(私自身がそうでした)。

とはいえ、学校の先生を責めることはできません。なぜなら、先生たちもまた“誰からも書き方を学んでこなかった”からです。

こうした背景は、現在、私が「文章の書き方の講師」をしている理由とも直結しています。文章を書くことが嫌いな人や苦手な人たちに<書き方の基本とコツ>を身につけてもらったうえで、彼ら彼女らに「文章を書くことって楽しい!」と思ってもらうことが、私に与えられたミッションです。

コツを知らないと、文章の上達はできない

ときどき「文章は書き続ければ必ずうまくなる」という声を耳にします。たしかに量を書くことは大切ですが、書く“だけ”では、思うような上達は見込めないでしょう。スポーツで考えると、すぐにわかります。たとえばテニス。あなたがいくらたくさんボールを打ち続けても、そもそものフォームが崩れていたらどうでしょう。悪いフォームで打ち続けるため、半年経っても一年経っても、一向にテニスが上達していないかもしれません。

一方で、錦織圭選手から10分だけフォーム改善のアドバイスを受けたとしたらどうでしょう。おそらく、その直後から見違えるほどフォームや球筋に変化が出るのではないでしょうか。そのアドバイスを機に、飛躍的にテニスが上達する人もいるはずです。もちろん、いいフォームでたくさんボールを打ち続ければ、一層の上達が見込めるでしょう。

これと同じことが、文章の書き方にもいえます。やみくもに文章を書き続けているだけでは、なかなか文章力は上達していきません。大事なのは現時点での自分の弱点を把握したうえで、その弱点を克服すべく<書き方の基本とコツ>を身につけることです。

1. 基本&コツが身についていない × 量を書く = 上達しない
2. 基本&コツが身についている  × 量を書く = 上達する

まずは、この理屈を理解しておく必要があります。文章力を高めたい人が目指すべきは、言うまでもなく②です。安心してください。②へ行きたい人たちのためにこの連載が存在します。この連載を通じて、<書き方の基本とコツ>を自分のものにしてください。

「書くことが苦手」でも、実は75%の伸びしろがある!

次回以降、具体的な書き方ノウハウをご紹介していきますが、その前に一点だけお伝えしておきたいことがあります。それは、文章作成のプロセスについてです。多くの人が「文章作成=文章を書くこと」だと思っていますが、実際には、そうではありません。

以下は、私が考える「文章作成のプロセス」です。

段階1:情報を集める
段階2:書く前の準備をする
段階3:文章を書く
段階4:文章を推敲する&直す

この4段階を見渡したとき、「文章を書く」という行為が段階3だけ、つまり、全体の25%程度ということが理解できるはずです。仮にあなたが、残りの段階1、2、4について、これまでほとんど意識していなかったとしたら、それは大いに喜ぶべきことです。裏を返せば、残り75%分の“伸びしろ”がある、ということだからです。次回以降の連載では、段階1〜4でそれぞれ必要なスキルやノウハウをお届けしていきます。どうぞお楽しみに。

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そもそも文章ってどう書けばいいんですか?

「文章を書くことがストレス」「書くのに時間がかかりすぎる」「そもそも頭のなかにあることを文章にできない」……本書はそうした「文章アレルギー」のある人たちに、マンガを織り交ぜながら、わかりやすく文章の書き方をレクチャーしていきます。

著者:山口拓朗

価格:¥1,400-(税別)

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