人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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新宿御苑のアセビ

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2018/03/19 14:34

新宿御苑の梅

新宿御苑でアセビの花が咲いた、という記事を見つけて新宿御苑に行ってきた。新宿御苑は、新宿3丁目駅の近くから千駄ヶ谷駅付近にまで広がる広大な庭園。もともとは信濃高遠藩主だった内藤家の下屋敷にあった庭で、現在の地名も新宿区内藤町である。明治以降は宮内省が管理し、現在は環境省の管轄する公園となっている。江戸時代の大名家の屋敷は広く、とくに当時としては郊外に設けられた下屋敷には広大な庭があるのが普通だった。

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アセビはツツジ科の低木で、白く小さな壺形の花をつける。古くから西日本を中心に自生しており、万葉集にもアセビを読んだ歌がみえる。

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アセビの花

このアセビという木は、漢字で書くと「馬酔木」となる。アセビには毒があり、馬がこの葉を食べると酔ったようになることから、馬が酔う木と書いてアセビと読ませているのだ。なお、短歌や俳句の世界では「あせび」ではなく「あしび」と読む。俳人水原秋桜子が主催した雑誌の名前としても有名。

ちなみに、「アセビ」は名字にもなっている。名字では末尾の「木」がなく「馬酔」書き、読み方は「あせび」。山口県周南市にある名字で、このアセビの木に因むものだろう。

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