人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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とろサーモンの「村田」と「久保田」

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2017/12/04 13:46

(画像は「M-1グランプリ2017」公式サイトよりキャプチャ)

3日に開催された今年のM-1グランプリは、出場規定ギリギリの15年目を迎えた、とろサーモンが優勝した。とろサーモンは宮崎県出身の同級生コンビ。名字は、ボケの「久保田」にツッコミの「村田」と、昨年優勝した銀シャリの「鰻」と比べると極めて普通。ランキングを見ても、「村田」が79位、「久保田」が123位といずれもメジャーで、ともに全国にまんべんなく分布している。

こうしたまんべんなく分布している名字のルーツは、普遍的な光景に由来していることが多いが、「村田」や「久保田」の由来はなんだかわかるだろうか。

「村田」とは、文字通り「村の田んぼ」。ただし、村にある田んぼなら何でもいいというわけではない。個人ではなく、村が所有している田んぼという意味で、村の共有財産として、そこで取れる稲は神社など村の共有財産の維持管理にあてた。

一方、「久保田」は「窪んだ土地にある田んぼ」という意味。稲作は水はけが大事なので、窪んだ土地は田んぼづくりには適している。もともとは「窪田」だったものに、「久しく保つ」という縁起のいい漢字に書き換えたものだ。現在、「窪田」は379位なので、「久保田」の方が圧倒的に多い。

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