日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2017/11/06 13:24
先日、陶器市で有名な栃木県の益子に行ってきた。JR東北本線の小山駅で水戸線に乗り換え、下館駅でさらに1時間1本のローカル線真岡鉄道に40分ほど乗ったところに益子駅がある。町には英語の案内板があるなど外国人の姿も多く、今では外国出身の陶芸家もいるという。
「益子」という地名を見ると、栃木県以外の人は「ますこ」と読むことが多いが、正しくは「ましこ」で、古くは「猿子」や「増子」とも書かれた。
ここは、「益子」という名字のルーツの地でもある。「益子」は栃木・茨城両県を中心に、福島県から関東南部にかけて分布する名字だ。もともとの地名が「ましこ」と読むため、ルーツに近い栃木・茨城両県では圧倒的に「ましこ」と読むが、その他の地域では、「ますこ」の方が多い。
たとえば、栃木県大田原市出身のU字工事の益子卓郎は「ましこ・たくろう」なのに対し、東京都葛飾区出身の益子直美は「ますこ・なおみ」である。
和歌山県の「玉置(たまき)」が、他県では「たまおき」となるように、読みづらい地名をルーツとする名字の場合、ルーツの近くでは地名と同じ読み方をするが、ルーツから離れるに従って漢字本来の読み方に引きずられて、名字の読み方が変更することがあり、「益子」もそうした名字の1つだ。