日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2017/09/14 13:48
9月9日、福井運動公園陸上競技場で開催された全日本インカレで、東洋大の桐生祥秀選手がついに100m9秒台をマークした。
速報で9秒99と表示され、スタジアム中が固唾をのんで見守るなか、正式タイムとして9秒98が表示されると、日本人初の9秒台に競技場は大きく沸いた。世界で9秒台を記録した選手のほとんどはアフリカ系の選手で、アジア系では中国の蘇炳添(9秒99)に次いで2人目の快挙だ。
さて、メディアでは桐生の生い立ちやレース歴などを詳しく報道しているので、この連載では「桐生」という名字についみてみたい。
「桐生」の全国順位は1600位前後。私は3000位以内はメジャーな名字と考えているので、「桐生」はごく普通の名字といえる。ただし、その分布は大きく偏っており、新潟県から関東と長野県にかけて集中している。それ以外では三重県と北海道にある程度まとまった数があるのみで、それ以外の地域では珍しい名字である。
ルーツは、上野国山田郡桐生(群馬県桐生市)。もともとは藤姓足利氏(足利将軍家とは別)の家臣だったが、源頼朝に討たれて一旦滅亡。その後、藤原秀郷の子孫である佐野氏の一族が桐生に住んで桐生氏を称したのが祖。桐生選手は滋賀県の出身だが、滋賀県には「桐生」という名字は極めて少なく、遠祖は群馬県にあるのだろう。