夜ごと、さまざまな場所で行なわれている「宴会」。
しかし、中には「まったく盛り上がらない」「参加者が全員メンドクサイと思っている」「幹事が何をすればいいかわかっていない」という宴会も多いとか。そんな宴会をボクメツするため、「宴会を通じて世の中の役に立つ」との使命に(勝手に)燃える1人のオトコが立ち上がった!?
「お酒を飲んでただ騒ぐだけ」の宴会は今日でおしまい。ビジネスにも役に立つ宴会のいろはをご紹介します。
2017/07/28 16:12
それからというもの、C君は持ち前の愛嬌と行動力で、テキパキかつユニークな方法で幹事として段取りを進めはじめました。
まずは、毎週実施のグループ会議の場で「宴会当日まで、会議の最後に5分だけ時間をください!」と提案し、毎回幹事MTGに参加者全員を巻き込んでいきました。そして驚くことに毎回、宴会の議題を提示してくるのです。
「今日は宴会のテーマを決めましょう!」
「今回はメインの目玉料理を決めましょう!」
「ゲームをしたいのですがどれがいいですか?」
ここでのポイントは、幹事がアイデアを複数出し、メンバーにその中から「選んでもらうこと」です。これにより、単純に参加するだけの「受け身型」ではなく、アイデアを比較・検討し選んでいくという「参加型」の宴会になっていきます。
また、全員そろった場で決めているため、意見を出し合う中で「あの人、日頃クールだけど意外と大衆的な居酒屋とか行くんだな」とお互いの好みや共通性が見えてきます。これは意外と幹事としてはメリットが多いのです。
好みの違いを互いに把握できるため、当日に場所や料理、出し物などでクレームが出ることはありません。そして何より、自分が意見を言っている「参加型」なので出席率が高くなり、当日キャンセルのリスクも減る、などなど良いことづくしのテクニックなのです。
今回のグループ会議で、ほとんどのメンバーが「野球好き」ということがわかりました。さて、この情報を得たC君は宴会当日、どんな行動に出たのでしょうか?
宴会当日、C君は交流ゲームとして「ヒーローインタビュークイズ」を実施したのです。
これは、事前のグループ会議でメンバーが野球好きということを把握し、C君が「取り入れやすそうだ」と考えたゲームでした。司会であるC君がインタビュアーになりきり、主役に対して、まるでMVPのプロ野球選手のように質問を重ねていきます。この2人以外は観客として、プロ野球選手のファンになり、コメントを聞いていくのです。
「いやー中田選手、素晴らしい活躍ですね」「ありがとうございます!」
「得意なスタイルは何ですか?」「そうですね、私の持ち味はITスタイルを駆使した顧客サービスですかね」
「と、いいますと?」「つまり、×××です」
という風に。また、「あなたのパフォーマンスの原動力は何ですか?」「休日の過ごし方は?」「好きな芸能人は?」などなど、インタビューが続きました。観客である他のメンバーからの飛び入り質問や、観客に答えてもらうクイズも取り入れ、予想以上の大盛り上がりとなりました。
この「ヒーローインタビュークイズ」により、仕事、そしてプライベートが色々と見えてきます。さらにヒーローインタビューの形で宴会の参加者たちを「主役」と「ファン」の関係にすることで、互いに称え合う姿勢となるので、宴会の雰囲気はとても良好になったのです。
さらに小道具として、野球帽やバットなど「そんなものまで用意されているんだ!」とメンバーが驚くサプライズをC君は準備していました。このサプライズで宴会の興奮はいっそう高まり、いよいよクライマックスへ突入します。
宴会の最後には、全員で記念撮影です。その際、C君は「開発営業部 年間売上200%目標達成結束会」と記した横断幕を準備しました。集合写真でチームの目標を掲げることで、宴会に「単なる飲み会」以上の意味をもたせたのです。
このように、幹事のC君は皆のことを第一に考えて幹事をやり切りました。その結果、宴会は言うまでもなく大成功。一匹オオカミばかりのチームメンバーも、食事が進み会話が増えるなかでお互いを知ることができ、あらためて目標への意思統一をすることができました。
「C君、今日はとてもワクワクして楽しい宴会だったよ、どうもありがとう!」
帰り際に皆から声をかけられ、C君は達成感いっぱいで家路につきました。
翌日から、このチームの風景は様変わりしました。
まず、出社するやいなや「おはよう」「昨日おもしろかったね」「あ、◎◎さん、あのプロジェクトだけどこんなアイデアはどうかな?」「もし大変だったら顧客同行に一緒にいこうか?」などなど、明るい会話が途切れることなく、自発的に生まれていました。
そして、今まで知らなかった互いの個性や考え方を知ることで、目標達成に向けてやるべきことが見え、互いに助け合う姿勢や風土が生まれたのです。
これまで、いつもあと一歩で目標未達だったこのチーム。1年後に目標を達成するどころか、売上200%を記録する「最強のチーム」へと変わっていました。さらに、今後は「開発営業部 プロ野球交流会」として、定期的に宴会を開催していくことになったということです。
そして、皆のデスクの上には、リーダーが野球帽をかぶった全員笑顔の集合写真が飾られています……。
***
いかがでしたか?
C君の企画した宴会は「同じ企業」「同じチーム」「同じ目標」で働く者同士の結束力の醸成に成功しました。
このようにちょっとした工夫をすることで、チームの成績や会社全体の業績を好転させる「最高の宴会」を行なうことができるのです。
良い宴は良い縁をつなぐ。最終回は「最高の宴会」についてでした。それは決して特別なものではありません。みなさんの宴会も必ず「最高の宴会」にできます。ぜひトライしてみてください。
今夜も世の中に最高の宴会が生まれますように。ありがとうございました!
一級宴築士のカワちゃんでした。