日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2017/07/24 10:54
山名城跡から少し降りたところに、上野三碑の一つ、山上碑がある。上野三碑とは、上野国(群馬県)内にある、山上(やまのうえ)碑・多胡碑・金井沢碑という6世紀末から7世紀初頭にかけて造られた三つの石碑のこと。国内最古の石碑群で、そこには中国から伝わった漢字が日本語の語順で並べて刻まれている。中でも681年につくられた山上碑は、京都の宇治橋碑に次ぐ古さである。
小屋の中に収納されている山上碑は、高さ111センチの自然石。表面には53の文字が刻まれており、内容は放光寺の長利(ちょうり)という僧が、亡き母の黒売刀自を供養するとともに、母と自分の父方の系譜を記したものだ。
それによると、母は佐野三家(みやけ,屯倉)の管理者であった健守命(たけもりのみこと)の子孫で、父の大児臣(おおごのおみ)は新川臣(にっかわのおみ)の子孫であるという。佐野は高崎市佐野(佐野の渡し付近)、大児は今の前橋市大胡、新川は桐生市新川とみられ、いずれもその地域に勢力を持っていた古代豪族であろう。
上野三碑は、1300年前の東アジアの文化交流を示す重要な歴史資料として、ユネスコの世界記憶遺産の国内候補となっている。現地周辺には、上野三碑を世界遺産に、という幟や看板が多くみられた。