日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2017/06/12 13:27
富山県射水市の新湊地区は珍しい名字が多い町として知られており、しばしばテレビなどでも取り上げられる。現在では射水市となっているが、かつては新湊市という人口4万人弱の単独の市だった。
新湊はもともと放生津という加賀藩領の港町で、寛永年間以降に開拓によって発展した町だ。港町らしく「魚」「釣」という名字がある他、「海老」「網」「魚倉」「波」「灘」などもある。「釣」はとくに多く100軒以上の「釣」さんがいる。食べ物の名字も多く、「米(こめ)」「酢」「飴」「菓子」「糀」など。
新湊の名字の特徴は、物の名前がそのまま名字になっていることだ。「桶」「車」「水門」「風呂」「綿」「石灰」「鼎」「瓦」「壁」「地蔵」「籠」など生活に密着した器物が名字となっている。さらに地形由来の名字も、ここでは「山」「松」「横丁」「四間丁」などそののずばりとなり、「牛」「鹿」「鵜」などの動物の名前、「菊」「草」などの植物の名前もある。その他「音頭」「大工」「旅」「蒸」「折」「紺」などもある。
これらの名字の多くは新湊独自のもので、江戸時代の商家が明治になって戸籍に登録する際、扱っている商品をそのまま名字にしたことが理由の一つと言われている。