人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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トリのつく名字

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2016/12/26 10:50

(Illustration by のり/IllustAC)

今年最後は、毎年恒例の来年の干支に因む名字について。

来年はトリ年。漢字では「酉」と書くが、さすがに「酉」のつく名字は少ない。そこで「鳥」のつく名字をみてみよう。

最も多いのは全国順位600位台の「鳥居」、次いで900位台の「白鳥(しらとり)」。「白鳥」は「しろとり」と読む名字も3000位台に入っている。以下、「鳥越」「羽鳥」「鳥羽」「鳥海」(とりうみ)「鳥山」「鳥井」と続き、普通の名字といえる5000位までに14個も入っている。

最多の「鳥居」は熊野の鈴木氏の一族といい、由来は神社にある鳥居だろう。以下の名字も地名由来のものが多く、「鳥」のつく名字には、鳥そのものに因むものは少なさそうだ。

では、鳥の種類別にみるとどうかというと、鷲と鷹が多い。5000位以内に「鷲見(すみ)」「鷲尾」「鷲野」「鷲田」「鷲津」と鷲が5つ、「鷹」も「鷹野」「鷹取」「小鷹」と3つ入っている一方、鳩や烏、雀といった、今ではよく目にする鳥は1つも入っていない。

名字が生まれたのは、鎌倉時代から戦国時代にかけてが中心。従って、名字に使われている言葉も当時の生活に密着したものが多く、当時身近な鳥は鷲や鷹だったのだろう。

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