日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2016/06/27 09:09
先日、ロケで福井県鯖江市を訪れた。
東京から福井県は遠い。ロケはほぼ一日かかりそうなことから、前日夕方に前乗りして福井市に一泊。翌日の朝、収録前に市内を軽く散策した。
戦国末期の福井県は、柴田勝家が支配していた。ただし、当時の名称は「北庄」(きたのしょう)である。これは伊勢神宮の神領で、のちに一条家領となった足羽御厨(あすわみくりや)の北の荘園、といったような意味だろう。
江戸時代初期に、徳川家康の孫に当たる松平忠昌が越後高田から転じてくると、城の位置を改め、その際に「敗北」という意味のある「北」の字をきらって「福井」と改称した。この由来となったのが天守閣脇にあって名水の湧く「福の井」という井戸だとされ、今でも天守閣跡には「福井の由来」として史蹟となっている。
しかし、現在では、城を移してからしばらくは「福居」と書かれ、「福井」となったのは18世紀初頭とみられている。50万石から25万石という大幅な減封で国主格から城主格に落とされた際、幕府によって「福井」と書かれたのが理由ではないか、という。
親藩大名とはいえ、幕府には逆らうことはできなかった。