日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2016/04/04 15:44
埼玉県に「鹿手袋」という変わった地名がある。昨年末にたまたま通りかがって気がついたのだが、そのときは時間がとれず、先日改めて行ってみた。
鹿手袋の場所は、埼玉県さいたま市南区。JR埼京線中浦和駅の近くだ。駅の高架から降りると、駅前の広場には早速「鹿手袋1-1」という案内表示がある。鹿が手袋をする(していた)というのは考えづらく、何かの宛て字だろう、というのは想像できる。
周辺を歩いてみると、マンションの名前に「鹿手」と省略しているものがあった。「鹿手+袋」であれば、なんとなくわかる。
あとで調べてみると、今では「鹿手袋」と書いて、文字通り「しかてぶくろ」と読むが、江戸時代は「しってぶくろ」だったとのこと。「ふくろ」というのは、川が大きく湾曲した際、川に囲まれて袋状になった地形を指す。
関東地方では蛇行した川が多く、各地に「袋」のつく地名が残っている。確かに、鹿手袋には川が流れており近くには蛇行した川の痕跡と思われるところもある。この付近はかつて「しって」と呼ばれ、そこにあった川に囲まれた部分が「しってぷくろ」となり、やがて「鹿手袋」という漢字があてられた。そして、漢字の読み方に従って「しかてぶくろ」になったと思われる。