人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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3月で降板する古舘伊知郎の名字

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2016/03/07 10:15

2015年末、古舘アナの番組降板が報じられた(画像はTV朝日・番組サイトよりキャプチャ)

今年の春は、テレビのキャスター陣の大幅入れ替えが話題になっている。その先頭を切ったのが、昨年末にテレビ朝日「報道ステーション」の降板を表明した古舘伊知郎だ。

今ではこの名字を見て普通に「ふるたち」と読めるが、アナウンサーとして売り出し中の頃は、読めなかった人も多いのではないだろうか。「舘」というあまり見かけない漢字は「館」の異体字。東北では小規模な城のこと「たち」「たて」といい、「館」や「舘」という漢字を宛てた。従って、名字でも「館」や「舘」のつくものは東北に多い。

つまり、「古舘」とは使用されなくなった古い小城のことだ。「古舘」「古館」という名字は岩手県に集中しており、「古舘」の方がやや多い。しかし、読み方は「ふるだて」が多く、「ふるたち」は三陸地方にわずかしかいない。

実は、「古舘」は、東北以外に佐賀県唐津市付近にもある。ここでは「古館」と書くものは少なく、読み方もほとんどが「ふるたち」。古舘伊知郎は東京の生まれだが、実業家だった父・順太郎は佐賀県の出身。従って「古舘」と書き、読み方は「ふるたち」なのだ。

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