名南経営 presents ─vol.11─
従業員などのマイナンバーを、すでに回収し終わった企業も多いのではないでしょうか。最近では、「回収したマイナンバーをどうやって保管すればいいのか?」「マイナンバーはいつまで保管していればいいのか?」というご相談をよくいただきます。そこで今回は、マイナンバーの保管と廃棄について考えてみましょう。
そもそもマイナンバーが記載された「書類」の保存期間は?
マイナンバーは行政機関に提出する書類に記載することになりますが、その取扱いは刻々と変化しているのが実情で、前回の本コラムも書いたように、マイナンバーを記載しなければならない書類は徐々に減少していく予定です。
たとえば、マイナンバーを記載する書類の中で保存期間が最長(7年間)といわれていた所得税法関係の書類も、条件付きで記載省略が認められるようになりました。
少し前にマイナンバーの記載が省略できるとされた「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書」に加えて、「配偶者特別控除申告書」「保険料控除申告書」「住宅借入特別控除申告書」についても「給与支払者に提供済みの個人番号と相違ない」旨を記載することによって、省略することが可能となりました。国税庁のホームページで確認できます。
国税庁ホームページ「源泉所得税関係に関するFAQ Q1-9,Q1-10」(平成28年1月25日掲載)
マイナンバーは基本的にすべて7年間保存をしなければならない、といった情報がしばらく飛び交っていました。しかしこれは、前述した所得税法上の各種書類の法定保存期間が7年間であることからくる誤解であり、あらゆるマイナンバー情報を7年間保存しなければならないということではありません。
人事給与システムの対応
前述の誤解によって、人事給与システムにおいても退職者の情報を退職後7年間はデータを削除できないと考えている企業も少なくないようです。
人事給与データのすべてを退職後7年間保存しなければならないというルールは存在しません。従来どおりデータが不要になったら速やかに削除をする、というルールで運用してよいでしょう。
マイナンバーの廃棄
マイナンバーは番号法に明記された「限定的」な目的でのみ収集・使用・保管が可能とされているため、時期がきたら「廃棄」をしなければなりません。その廃棄にあたっては、紙の資料であればシュレッダーで裁断処分をすることになりますが、盲点となるのは、マイナンバーの管理等に使用していたパソコンの廃棄です。
企業によっては、データを削除した上で中古店に売却するといったケースもあるようですが、削除したデータを復元できるソフトが市販されており、誰でも入手可能なため注意が必要です。
パソコンの廃棄にあたっては、専門業者による粉砕処理を施し、粉砕をしたことを証する証明書を受領しておくとよいでしょう。
(次回は2月15日・月曜日に配信予定)
【執筆者プロフィール】
社会保険労務士法人名南経営
杉山さやか(社会保険労務士)
愛知県出身。大学卒業後、出版社に勤務。求人企画を担当した際に、人事労務に興味を持ち、2010年に社会保険労務士試験合格。2011年に社会保険労務士法人名南経営へ入社。社会保険手続アウトソーシング業務を中心に、労務相談業務、給与計算、各種規程整備、調査対応等に従事。最近では、マイナンバーセミナー講師や、マイナンバー導入に向けての社会保険電子申請化支援等にも応じている。