人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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○郎丸はいくつまであるか

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2015/12/07 10:05

ラグビーブーム、どこまで続く?(photo by Alison Bowden/fotolia)

先日、久しぶりに日本テレビ「トリックハンター」から、「五郎丸」関連のインタビューを受けた。ラグビーW杯開催中には連日いろいろな取材があったが、丁度他の番組の出演とも重なっていたため、書くチャンスがなかったので、あらためて書いてみよう。

「五郎丸」のような「~丸」という名字は九州北部を中心に広がっており、とくに佐賀県付近に多い。この「丸」とは新しく開発した田んぼを意味している。従って、「五郎丸」とは「五郎さんの開発した田んぼ」ということになる。

往年の野球ファンだと、かつて阪神からドラフト1位で指名された源五郎丸洋(げんごろうまる・ひろし)という名前を覚えているかもしれない。この源五郎丸投手、大分県の日田林工の出だが出身は佐賀県。名字の由来は「源五郎」という人が開いた新田だろう。

佐賀県には、他にも「田中丸」「貝通丸」(かいつうまる)「飼鶴丸」(かいつるまる)「船津丸」など、「丸」で終わる名字がいろいろある。

ところで、「○郎丸」という名字で最多なのは「五郎丸」で、実は福岡県と山口県には意外と多い。この名字、「九郎丸」まであるが、なぜか「八郎丸」はない。「六郎丸」以降はかなり珍しいため、途中で無くなってしまったという可能性もありそうだ。

なお、鹿児島県には「八五郎丸」と書いて「やごろうまる」という名字もある。放送は12月9日(水)19:00~。

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