日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2015/11/24 10:51
先週とりあげた、武蔵国にあった「領」という単位を使った最も有名なものが、神奈川県川崎市にある二ヶ領用水だろう。
二ヶ領用水とは、川崎市の多摩川沿いにある農業用水のことだ。徳川家康が江戸入りした天正18年(1590)、多摩川が大洪水を起こして流れが北寄りに変わったことから、用水を引いて多摩川右岸に水田を開発することになった。そこで、小泉次大夫が関ヶ原合戦3年前の慶長2年(1597年)に測量を始め、2年後に着工。14年かけて長大な用水路を完成をさせ、新たな水田を開発した。
この「二ヶ領」という名前が、川崎市南部の川崎領と北部の稲毛領という2つの「領」にまたがっていることからつけられたものだ。
東急田園都市線溝の口駅で降りて、大山街道を高津駅方面に歩くと二ヶ領用水と交差する。用水は両側に歩道が整備され、用水の中には立派な鯉が泳いでいる。
用水に沿って10分ほど歩くと、ほどなく久地円筒分水がみえてくる。これは中野島と宿河原で取水した流れが合流する地点で、ここで4つの堀に水を振り分けた。しかし、水の配分を巡って争いが起こることから、昭和16年公平に分配できるようにこの円筒分水が造られた。当時としては画期的な設備で、国の有形登録文化財となっている。