日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2015/11/16 10:37
先週に続きさいたま市の平方領々家について。実は、この付近は地名が入り組んでおり、少し歩くと他の地名の看板も目にすることができる。それが、写真の「指扇領別所」や「指扇領辻」という地名である。
これは明らかに指扇領の中にある「別所」や「辻」という地名を意味している。ということは、「平方領々家」も「平方+領々家」ではなく、「平方領」の「領家」なのだろう。「領家」という地名が他にもあるために、「平方領の領家」として本来は「平方領領家」と書いていた考えられる。しかし、「領」という漢字が続いているため、2つ目の「領」を「々」と省略したに違いない。
あとで調べてみると、この平方領々家は上尾市とさいたま市にまたがっており、上尾市にもさいたま市にも別の「領家」という地名があることが確認できた。
江戸時代以前、武蔵国にはこうした「領」という地名の単位があった。郡よりは狭い範囲だが、中には1つの領が郡界を越えることもあり、本来の「~郡~村」という行政単位とは別の体系のように思われる。
武蔵国の郡は、足立郡、豊島郡、葛飾郡など、かなり広大な郡も多く、人口の増加によってもっと細かな実態に即した地名の単位が必要だったのかもしれない。