「マイナンバー制度」最新情報

「マイナンバー制度」が、2016年1月、いよいよ開始されます。どの企業にも同制度への対応を求められているため、残された時間を考えると「待ったなし」の状況です。
この連載コラムでは、制度に詳しい専門家グループが、企業の実務担当者のみなさんに向けて、動き始めた制度の最新情報を全12回にわたって解説します。

【執筆:社会保険労務士法人 名南経営】
名南コンサルティングネットワーク(名古屋市)のメンバーファームの1つとして人事労務の分野で企業等を支援。社会保険労務士事務所としては全国でも有数の規模を誇る。
『マイナンバー制度の実務と業務フローがわかる本』(日本実業出版社)など著書多数。
詳細は下記「著者プロフィール」をご覧ください。

著者プロフィール

社会保険労務士法人 名南経営

名南コンサルティングネットワーク(名古屋市・グループスタッフ数426名〈2015年1月現在〉)のメンバーファームの1つとして、人事労務の分野で企業等を支援。社会保険労務士事務所としては、全国でも有数の規模を誇る。

主な得意分野は、コンサルティング(人事制度改革・就業規則整備・人事労務の業務改善・株式上場に伴う労務環境整備・マイナンバー導入環境整備等)、アドバイザリー(人事労務相談顧問・労働トラブル対応・労働基準監督署調査対応・海外人事労務等)、労務監査、人事労務アウトソーシング。

所属メンバーによる専門書籍は20冊を超え、専門誌への連載も多数。講演や企業内研修も年間100件を超えており、東海地区を中心に全国各地の企業等からの様々なニーズに対応している。情報発信も積極的に行なっており、WEBサイト「roumu.com」は人
事労務分野では業界トップレベルのアクセス数を誇り、メルマガやブログ等における企業の人事労務担当者の視点に合わせた最新情報の提供は好評。2015年6月現在のスタッフ数は25名(社会保険労務士登録者数9名、有資格者9名)。

住所 〒460-0003 愛知県名古屋市中区錦二丁目4番15号 ORE錦二丁目ビル5階
電話 052-229-0730
http://www.roumu.co.jp  http://www.roumu.com

マイナンバーで労働保険(雇用保険・労災保険)の手続きはどう変わる?【連載 第4回】

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2015/10/26 07:10

名南経営 presents ─vol.4─

2016年1月の制度開始時から、労働保険(雇用保険・労災保険)関連の提出書類にもマイナンバーを記載することになります。しかし最近、実際にどのような手続きにマイナンバーが必要になるのかイメージできない、という言葉をよく耳にします。そこで今回は、労働保険の手続きがどのように変わるのかを見ていきましょう。

すべての手続きにマイナンバーを記載するわけではない

実際には、すべての労働保険(雇用保険・労災保険)関連の提出書類にマイナンバーを記載するわけではありません

雇用保険の手続きで企業がマイナンバーを記載することになる書類は、下記の5つに限定されています。

(1) 雇用保険被保険者資格取得届
(2)雇用保険被保険者資格喪失・氏名変更届
(3)高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付申請書※
(4)育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書※
(5)介護休業給付金支給申請書※
(※の書類は、企業が提出するためには労使間で協定を締結する必要があります)

提出する機会が比較的多い、高年齢雇用継続給付や育児休業給付の2回目以降の申請書や離職票などには、マイナンバーを記載する必要はありません。

また、ハローワークから返戻される書類(雇用保険被保険者証など)には、マイナンバーは一切記載されないことになっています。

下に、マイナンバーの記載に関する、雇用保険のその他の提出書類を含めた一覧を作成しましたので参考にしてください。 

vol4表

一方、労災保険に関しては、障害や遺族関係の労災年金書類にマイナンバーを記載することが最近決定されました。しかしこれらは、本人や遺族が記載する書類がメインになるため、企業側で労災関連書類にマイナンバーを記載することはほぼないでしょう。

漏えいリスクを考慮して提出方法を検討する

書類の提出方法についても、漏えいリスクをできるだけ避ける方法を検討する必要があります。たとえば、直接持参する場合は盗難リスクがありますし、郵送の場合は紛失リスクを考えなければなりません。書留郵便の使用や電子申請を用いるなど、提出方法の見直しも行ないたいところです。

また、雇用保険で使用している「被保険者番号」は、「住所」「氏名の漢字」が登録されていないため、ハローワーク側で被保険者番号とマイナンバーを一致させることができません。そのため、2016年中に在職者の雇用保険被保険者全員分のマイナンバーを提出しなければなりません。

在職者のマイナンバーの提出時期や提出方法について、厚生労働省は「現在、検討中」としており、具体的な内容はまだ公表されていませんが、在職者のマイナンバーを事前に収集し、提出に備えておくとよいでしょう。
※2017年からマイナンバーの利用がスタートする社会保険も、2017年中に同様の措置がとられる予定です。

(次回は11月9日・月曜日に配信予定)


社労士法人名南経営 杉山さやか(縮小)【執筆者プロフィール】

社会保険労務士法人名南経営
杉山さやか(社会保険労務士有資格者)

愛知県出身。大学卒業後、出版社に勤務。求人企画を担当した際に、人事労務に興味を持ち、2010年に社会保険労務士試験合格。2011年に社会保険労務士法人名南経営へ入社。社会保険手続アウトソーシング業務を中心に、労務相談業務、給与計算、各種規程整備、調査対応等に従事。最近では、マイナンバーセミナー講師や、マイナンバー導入に向けての社会保険電子申請化支援等にも応じている。

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