日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2015/08/26 15:08
月日のついた珍しい名字として、しばしば実在しない名字が紹介されることがある。近年はかなり減って来たが、それでも「十二月田」と書いて「しわすだ」という名字がある、という話題はいまだによくみかける。
これは、東京近郊に「十二月田」という地名があることため、この読み方になじみのある人がそれなりにいるからだろう。実際、地名があれば名字もある、と思い込んでいる人は意外と多い。
東京の地下鉄南北線は、赤羽岩淵駅を過ぎると埼玉高速鉄道となる。そして、荒川を越えて埼玉県に入った最初の駅が川口元郷駅だ。ここで降りて北に少し歩くと、信号機に写真のような地名表示板がみえる。この付近が十二月田で、室町時代から文献に登場する古い地名だった。
今では川口市末広や朝日といった全く歴史を感じさせない地名に変更されたが、小学校や中学校の名前は昔のまま、十二月田小学校・十二月田中学校。古い地名は、学校や郵便局、バス停などで伝えられることが多い。
しかし、12月の田んぼには何もないのではないか、と思って調べたところ、小学校のホームページに、12月にキツネが杉の葉で田植えの真似をして豊作を祈願していたということに由来するとあった。近くにある十二月田稲荷の使いだろうか。