人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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「にいがき」と読む新垣さん

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2015/06/29 11:11

(Photo by hoya/ソザイング)

最近、色々な番組でピアニストの新垣隆を見ることがある。多くは本職である音楽に関するものだが、なかにはバラエティ番組も多く、かなりの売れっ子となっている。新垣がゴーストライター事件でマスコミに登場した際、その名字を「あらが(か)き」と読んだ人が多かったのではないだろうか。

「新垣」には著名人が多い。女優新垣結衣や全盲のテノール歌手新垣勉は「あらがき」、プロ野球ヤクルトの新垣渚投手は「あらかき」と、濁る濁らないの違いはあるものの、いずれも沖縄出身で、現在でも「新垣」は沖縄では6番目である。

なお、糸満市や南城市では「しんがき」と読むことが多く、「しんがき」と読む「新垣」さんも沖縄県ではベスト100に入る。いずれにしても、「新垣」さんのほとんどが沖縄出身であることにはかわりない。

ただし本土をルーツとする新垣さんもある。

「新垣」とは文字通り、新しい垣のこと。垣とは屋敷や庭の境目として設けたもののことで、「新垣」さんは、新しく垣を設けて住んだ住人のことだろう。この本土の新垣、関西では「しんがき」、関東では「にいがき」と読むのが主流。

従って、「にいがき」と読む「新垣」さんのルーツは関東地方で、「新垣」さん全体の1%程度である。

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