人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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二階建てが珍しかった時代

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2015/06/08 11:20

今夏に公開される映画「この国の空」で主演をつとめるなど、モデルから女優に転身して日本アカデミー賞新人俳優賞など数々の賞を受賞している二階堂ふみ。プロフィールをみると沖縄県の出身とあるが、「二階堂」という名字は沖縄の名字ではない。

「二階堂」という名字は珍しいと感じるだろうか。全国ランキングでは1400位前後。数からみる限りでは珍しい名字ではないが、分布が関東南部、東北南部、鹿児島等に限定されているため、それ以外の地域ではあまり見ることはない。ただし、かつて二階堂進という自民党の重鎮がいたため、年配の人にとってはなじみのある名字ともいえる。

二階堂のルーツは古い。鎌倉時代、幕府の官僚だった工藤行政は、鎌倉の永福寺の近くに住んでいた。この永福寺、三つの堂のうちの一つが二階建の巨大なものだったことから二階堂と呼ばれ、やがて永福寺付近の地名も二階堂となった。

そして、この地に住んだ行政も、二階堂を名字として名乗るようになったのがルーツ。二階堂氏は鎌倉幕府の官僚として勢力を持ち、各地に所領を持った。こうした分家のうち、福島県の須賀川二階堂氏と、鹿児島県の薩摩二階堂氏は地元の名家となり、二階堂進は薩摩二階堂氏の一族である大隅二階堂氏の末裔だった。

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