『教養としての「所得税法」入門』(木山泰嗣著、ISBN:978-4-534-05614-6、初版)の「不動産所得」に関する記述内容におきまして、一部誤解を招くおそれのある記載がありました。下記のとおり、表現の変更および補足をさせていただきます。

255ページ8行目~12行目(表現の変更)

また、不動産所得には、「不動産所得を生ずべき事業」と、「不動産所得を生ずべき業務」の2種類があります。同じ所得区分であるにもかかわらず、前者の場合(事業)と、後者の場合(業務)で、貸倒れが生じた場合の必要経費の取扱いなどに違いがあります(所得税法51条2項、64条1項、152条等)。両者の区別は、貸付けの規模で考えるものと解されており、「5棟(とう)10室(しつ)基準」と呼ばれる、次の通達規定があります(所得税基本通達26‐9)。

258ページ末尾(補足)

なお、不動産所得は、前述のように、同じ所得区分でありながら、「不動産所得を生ずべき事業」と「不動産所得を生ずべき業務」に分けた取扱いがあるのですが、前者は事業所得の取扱いと類似しており、後者は雑所得の取扱いと類似しています。

そして、不動産所得が租税回避や節税スキームに利用される例が多いことも考えると、不動産所得は廃止し、現行法の「事業」については事業所得とし、「業務」については雑所得とすべきという見解(不動産所得廃止論)もあります。

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