世襲について 事業・経営篇

発売日 2001.11.02
著者 江坂彰 監修
判型 四六判/上製
ページ数 284
ISBN 978-4-534-03324-6
価格 ¥2,200(税込)

事業を興した人、親から継いだ人なら誰しも考える次世代への穏便なバトンタッチ。経営者にとっての最大の大仕事である後継者指名、その教育をどうするか。いくたの荒波をくぐり抜けてきた永続企業を例に取りながら、世襲の強さ・脆さ、事業永続の知恵を解剖する。

≪章立て≫
序章 いま、なぜ世襲なのか 世襲は“不滅の文化”である
1章 世襲とは何か “志”の承継で信用を未来へ
2章 世襲の強みとその必然性は 絶えざる変革こそ永続の基なり
3章 老舗企業の原点は 世紀を超えて“橋渡しの理”が
4章 世襲の難しさとは 初心を離れたとき自壊を招く
5章 後継を託す子へ親は何を 賢者は歴史に、愚者は経験に学ぶ
6章 世襲のこれからは 創業哲学の伝承は時代を超えて

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序章 いま、なぜ世襲なのか ── 世襲は“不滅の文化”である /江坂彰

 ◇時代の大波がいま押し寄せる  12

   旧体制が行き詰ると「能力主義」が台頭する

   “失われた十年”で間違えたこと

   自ら顧客をつくる時代がやってきた

 ◇“不滅の文化”にダイナミズムを  22

   後継者に求められる「力量と人望」

   現代にも通じる船場商人の知恵とは

   経営スタンスの選択は全方位で

   “世襲ベンチャー”の強みを活かす

1章 世襲とは何か ── “志”の承継で信用を未来へ /下村彰義

 ◇どうして事業は成り立つのか  36

   “役立ち度”の薄い事業は存在しえない

   没落豪商に学ぶ“世襲の落とし穴”

   高い志こそが事業を創成した

   “道徳と経済の合一”が成功のカギに

 ◇継承するのは“財”と“心”と  47

   世襲の“原点”には血と欲が…

   継承者への“怜悧な戒め”が生きる

   “義”を先に“利”を後に

   厳しい選択が世襲の“型”を生んで

 ◇老舗が守り伝えたものは何?  56

   どっこい、老舗の心は生きている!

   晩年に気づく「社会貢献」の大切さ

   事業に賭ける“ひたむきな真摯”こそが財産に

 ◇後継者は“重き荷”を背負って  64

   “新”創業者精神が後継トップを強くする

   「成功する!」という強い信念を

   後継者の“心”の問題を見逃すな!

2章 世襲の強みとその必然性は ── 絶えざる変革こそ永続の基なり /下村彰義

 ◇企業を永続させる老舗の潜在力とは  74

   “金銀”が町人の氏系図になるためには

   金銭・欲得を超えた“世界”がそこに商人の基本精神は時空を超える

 ◇世襲企業には“サバイバル的素養”が  81

   世襲を永続させる三つのポイントとは

   身上は四方八方への気配り

   “創業者の志”が隅々にまで

 ◇自然体での“人間学”と“帝王学”  87

   憂えず、惑わず、恐れず

   補佐システムを備えた強み

   人材判定の“ものさし”は

 ◇危機感が“日々革新”の精神を生む  94

   組織の生き残りは臨機応変に

   したたかな捲土重来の精神が脈打って

   “未来への意志”だけが道を拓く

   身体に染みついた危機意識

 ◇世襲は古来、理を最優先してきた  104

   真の世襲企業は元気企業!

   三井高利の「遺訓」は21世紀にも通じる

   “一人一代”で滅びる怖さを知って

   “覚悟を決めた経営”が最大の強みに

3章 老舗企業の原点は ── 世紀を超えて“橋渡しの理”が /萩原裕雄

 ◇21世紀に生き続ける“平和の商人”道  112

   一人勝ちを良しとせず

   世襲」と「暖簾分け」の絶妙なバランス

 ◇財産は次代へ渡す“預かりもの”だ  117

   日本的経営風土は三都の商人がつくった

   生活のリズムを崩すなかれ

   商売は“命の受け継ぎ”に同じ

   商いの原点は行商にあり

 ◇“橋渡し役”は常に期待と不安の眼で  127

   口を酸っぱくして戒めた“奢り”

   何事も徹底した下積み教育から

 ◇“没落”を他山の石に  135

   他家の破綻を絶好の教材として

   豊かさから退廃と滅亡が始まる

 ◇血に固執しない後継者選び  141

   ゴーイング・コンサーンの最重視を

   他家からの血で大を成す老舗

   斬新な発想は新しい血によって

   日本の世襲は華僑に比べて緩やか

 ◇“世襲の真意”は個人の事情を超える  150

   象徴としてのオーナー家へ

   年月をかけて“千年杉”を育てる

4章 世襲の難しさとは ── 初心を離れたとき自壊を招く /萩原裕雄

 ◇されど世襲は健在なり  158

   エリート・サラリーマンから家業承継へ

   自分の道を選ぶ若者たちも…

 ◇骨肉の情が自壊の始まりに  162

   働き者の先代が遺した資産が災いして

   親の溺愛と偏愛の結末は…

   骨肉の争いはなぜ起こるのか

 ◇成長過程で揺らぐ創業の精神  170

   兄弟不和が経営の修復を阻んで

   生半可な成功が暖簾を汚す

   大手を夢見て200年の老舗に幕を

 ◇バトンはなぜ三代目へ渡らなかったか  176

   同族経営の基本を華僑に倣う

   合併拒否が最後の引き金に

   後継者選びの“枠”を狭めてはいないか

 ◇“人間ドラマ”ゆえの難しさが  185

   時代の要請を貫けるか

   意味深長な“父子の相克”が示すものとは

   企業文化の継承こそが第一の要諦

5章 後継を託す子へ親は何を ── 賢者は歴史に、愚者は経験に学ぶ /岸永三

 ◇鉄はなぜ熱いうちに打つか  194

   手加減なしの愛のムチが育てたもの

   瞬時の判断力の涵養こそ

 ◇何よりも“我慢”を教える  198

   創業者の子弟には危険と誘惑が…

   商いの真髄を身体で覚えさせる

 ◇ユダヤと華僑の子弟教育に学ぶ  203

   大富豪でもまず“普通人の感覚”を

   富は絶対、当主も絶対!

 ◇名伯楽にもわが子の教育は難し  208

   下積み体験は千金の重みをもつ

   親子ゆえの厳しすぎる眼も

 ◇他社でこそ貴重な教訓も得られる  214

   取引先で培われた商いのセンス

   使われる側の心を知る

   “他社に入って何をするか”が問題だ

 ◇母の教えは末代まで  220

   母親から受け継ぐ“一生の財産”

   リーダーに不可欠の素養と経験とは

   “学校”や“教科書”は人生の至る処にある

 ◇父が伝えるのは“ワン・テーマ”でよい  228

   先代は“人間として”の基本を教えた

   経験に学ぶより歴史に学べ

   後継者教育の仕上げは“冷徹な人選”によって

6章 世襲のこれからは ── 創業哲学の伝承は時代を超えて /岸永三

 ◇世界ではオーナー経営に変化の兆し  240

   巨大企業の合併が意味するものは

   歴史とともに一族の不和も生まれる

 ◇君臨すれども統治せず  244

   日本ではオーナー経営の風土が残る

   創業家の象徴化は落着したが…

   薄れる忠誠心のなかで…

   創業者一族の復活が生んだ大改革

 ◇世襲の良さを活かす後継者たちは  254

   血は水よりも濃し

   創業の基盤を土台に

   生まれながらの経営感覚が

   “会社の強み”の最大理解者が自社を伸ばす

 ◇刻々と変わる世襲を取り巻く状況  263

   息子は選べないが、婿は選べる

   「承継税制」にも手直しが…

   “株式公開”と“持株会社”の活用を

 ◇親の“遺産”と子の“覚悟”が成否を決める  270

   遺すのは経営哲学とノウハウ

   生き残るのは50年でほんの僅か

   事業の醍醐味を知る者だけが強い…

あとがき /童門冬二

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江坂彰 監修

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