世襲について 歴史・国家篇
発売日 | 2002.06.07 |
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著者 | 童門冬二 監修 |
判型 | 四六判/上製 |
ページ数 | 266 |
ISBN | 978-4-534-03412-0 |
価格 | ¥2,200(税込) |
世襲シリーズの第二作。天皇家、源家、あるいは徳川家など時代の要請によって誕生したリーダーたちは、その地位・役割を後世に引き継ごうと全力を挙げてきた。その過程において常に歴史の“主役”であった世襲という“人間ドラマ”を多面的に考察する。
≪章立て≫
序章 いま、なぜ世襲なのか
1章 世襲の型は多種多様で
2章 血の継承の“偉力”とは
3章 徳川“長期政権”の秘密は
4章 なぜ凄惨な抗争が起こるか
5章 誰が“そのカギ”を握るのか
6章 向後も変質するのか、世襲は
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詳細
はじめに /童門冬二
序章 いま、なぜ世襲なのか ── オーナーシップが混迷期をリードして /童門冬二
◇あてどなき時代にこそ不易流行が 12
“熱いトタン屋根の猫”に似て
守るべきものと変えるべきもの
◇“うちの思想”を取り戻すとき 18
総務部門が機能を失って…
いま、求められている「マクナマラ戦略」
“らしさの競争が押し寄せてくる”IT化は「自己完結性」を強めて…
◇世襲がつくる新しい組織像とは 26
ペリーが突きつけた“トップの選び方”
荒療治を納得させるのは「血統」だ!
1章 世襲の型は多種多様で ── 家と名を永続すべく“英智”は生まれた /小和田哲男
◇それは、三代続くか否か、で決まる 36
いつの時代も二代目が運命を左右する
「大王」から「天皇」へ
嫡系相承の便法として「女帝」は登場した
◇時代とともに変わる後継者“指名法 43
なぜ三男の信長が後継に?
器量なき者は家督を奪われる!
“能力”から“長幼”への大変化が…
◇「名誉の死」の背景には世継ぎ“認知”が 52
「末子相続」は認められず
前田(利家)家の家督は信長が決めた!
武将はなぜ「名誉の死」を望んだのか
「殉死」も時移れば批判の的に
◇ナンバー・ツウによっても成否が分かれる 65
武田勝頼は宿老との軋轢に潰された
名を捨てた父・黒田如水の大芝居
◇世襲を途絶えさせた武家の3つのパターン 69
江戸初期には無嗣断絶が頻発した
嫡流家との待遇差が抗争のもとに
“自然消滅”した戦国名家に学ぶもの
2章 血の継承の“偉力”とは ── 嫡流は時代を超えて“収まり”がよい /小和田哲男
◇そこには絶大な“結集軸”がある 78
“貴種”の思想が鎌倉幕府を成立させた
後継は幼少でもあくまで嫡流を
権力者の世襲が順当なら世の中も平穏に
北条得宗家も“収まり”のよさで
◇恩人の子に対しては奉公を 85
わが子に継がせたい執念と思惑が…
「受けた恩を子に返す」
◇生まれながらに“将の生き方”を学ぶ 89
幼児から「常在戦場」を教えられる
元就が伝えた「“毛利流”孫子の兵法」
◇家を守るための“腐心”と“知恵”と 92
鷹山に託した上杉家の立て直し
養子を追放して実力者の“再養子”を
代々の「茶屋四郎次郎」襲名は何のためか?
◇貴重な伝承は“世襲だから”こそ 99
「技能の“一子相伝”」に強さの秘密を見る
家元制度を維持するなかで
「自然に身につく」ことが“結集軸”に
3章 徳川“長期政権”の秘密は ── 強かった創業三代と中興・吉宗のシステム /本告正
◇後継人事に人遣いの妙を見る 108
家康の早期引退は「世襲の宣言」でもあった
やはり「創業は易く、守成は難し」
御三家の創設は天皇家を倣った?
◇巧みな組織づくりが世襲を支えた 116
“貞観の治”に学んだ盤石の基盤づくり
制度によって人を動かす
◇ヒト・モノ・カネの戦略が決め手に 124
民心コントロールは“鎖国”で実現した
世界に冠たる江戸時代の初等教育
独占的な直轄地経営で富を手中に
厳しい身分制が“安定”を生む
◇吉宗はなぜ“第二の創始者”なのか 135
「中興の祖」を生んだ歴史のイタズラ
政敵には断固とした姿勢で
人材を登用し、自らは堪忍を貫く
“暗愚の長子”をなぜ後継に?
徳川家は8代・吉宗で15代も続いた
4章 なぜ凄惨な抗争が起こるか ── 権力をめぐるルールなき“骨肉の相克”に /本告正
◇権力は継げても権威は継げない 148
古来より“権威闘争”はない.将軍の権威は“征服王朝”に近い?
「継承した者」の権威を補強するシステムとは
◇複雑な家督争いがより大きな災禍に 154
足利と徳川の差は8代目にあり!
“親の七光り”は泰平の世のみ
◇為政者の“内輪もめ”は天下国家を揺るがす 162
皇位をめぐる争いが社会変動を招く
親の偏愛が火種となって…
◇すべては世継ぎの力量不足から始まる 168
文化人として生きることは許されず
お家騒動にはほとんど幼君が絡む
◇ベストの基準を求めて――器量・長幼・血筋など 173
3代・家光により“長子相続”が定着した
徳川家はなぜ大名との婚姻を避けたか
世界史上の“骨肉の争い”は凄惨を極める
5章 誰が“そのカギ”を握るのか ── 女性(母)こそが世襲の成否を決める! /武田鏡村
◇母親がつくる後継者の“心の土台” 184
母の影響は無意識のうちに
秀吉の母が「人を活かして自分も生きよ」と
◇夫婦の不和が世襲を危うくする 189
源(頼朝)氏はどうして3代で絶えたのか
妻・政子が犯した“夫婦のタブー”
尼将軍の心は源家から実家の北条家へ
◇“中興の女性”なくして北条14代はない 198
北条政子の“子育て”を他山の石に
心を鍛えるには体を鍛えよ
8代・時宗には国際感覚の素養があった!
◇女の性は家を潰し、世を大乱にも導く 206
“応仁の乱”は富子が起こした?
雌鳥が刻を告げれば、家は亡びる
トラウマから抜け出せなかった淀殿
豊臣家存続への北政所の思い…
◇父と子の葛藤に割って入る存在とは 217
“三本の矢”を生んだ蔭の女性がいた
加賀百万石を創ったのは誰か?
強き母は身を挺して家を守った
妻として、母として女性がカギを
6章 向後も変質するのか、世襲は ── 次代を拓く“私から公へ”の転化 /武田鏡村
◇ここにもIT化の波が… 232
徳川政権はなぜ大衆を統制できたか
後継者に強まる自己実現の欲求
◇少子化が“継承のあり方”を根底から変える 236
個人主義は廃れて共生観へ…
歴史は間違いなく“女性の時代”に
何故に“女性のそれ”ではいけないのか?
◇世襲と実力主義は共に補完してきた? 241
実力主義だけの社会もあり得ない
明治維新は徳川の世襲だけを否定した
◇皇室も伝統を守りながら革新する! 248
「家を継ぐ」から「家業を継ぐ」へ
率先して“開かれた皇室”に
日本もいよいよ「女帝」の時代になる?
◇「公」へ向けての力強いベクトルは 256
“内向きの世襲”は早晩潰れる
松下幸之助は時代の変化を先取りした
あとがき /笠原英彦
著者プロフィール
童門冬二 監修