やりたいことがたくさんあるけれど、やれずにいる。その理由が「時間がない」であるならば、時間の使い方を見直すことが必要です。やらなければならないと思っていることが実は思い込みだったら、自分のやりたいことに使える時間が増えて日々の生活が充実すると思いませんか。

今回は、4000人以上のタイムコーディネートをしてきた吉武麻子氏が上梓した『時間デトックス』から、「はじめに」を公開します。

毎日がんばっているあなたへ

あなたは時間に追われる日々を送っていますか?

「このがんばり方はもうすぐ限界が来る」と心のどこかで思っていませんか?

仕事はわりと好きだし、学ぶことも好き。家族の時間も大事にしたいし、ひとりの時間もほしい。効率よく、色々なことに挑戦するのが好きで、周りからも頼られることが多い。頼られることはうれしいし、期待に応えたいとも思うから、頼まれごとの答えは「はい」か「YES」でやってきている。

一方で、最近は体力も昔のようには続かないし、ふとした時に、この状態がこの先も続くのかと想像すると「そろそろ限界なのでは」とよぎりはする。だけど現実は、目の前のことを打ち返していかないといけないから、深く考えている暇もない。実は現実を見るのが怖くて、目を背けている自分にも薄々気づいている。

ジャグリングのように複数のことを回しながら、ひとつも落とさないようにギリギリの状態。何かテコ入れしようものなら、すべてのバランスが崩れそうで、怖くもある。

だから、今日も時間に追われている。

自分の人生を「心地よさ」でデザインする

はじめまして。タイムコーディネーターの吉武麻子と申します。

私は時間の専門家として、自分の心地よさを大切にしながら「夢ややりたいこと」を叶えていく、時間をコーディネートする生き方「タイムコーディネート」を伝えています。これまでのべ4000名以上の方へ指南してきました。

「やりたいことは山ほどあるのに、いつも目の前のことをこなすだけで時間が過ぎ去っていき、時間がない」という相談をよく受けます。

やりたいことがあること自体が素晴らしいことなのに、時間がないせいで、やりたいことができないのはもったいないですよね。もったいないからこそ、自分を奮い立たせて何とかしようとしても、長期的な視点でみると、よい解決策ではありません。超人でない限り、いずれ心も体も壊してしまいます。

そこで私が提案しているのが、自分の人生をデザインする「タイムコーディネート」の考え方です。今という時間の積み重ねが、自分の人生をつくっていきます。つまり、「人生のデザイン=時間のデザイン」といえます。時短・効率化に重きを置く前に、自分がどんな人生を生きたいのかを描き、時間を自分の「心地よさ」でコーディネートしていくのです。

「心地よさ」は、決して「楽をする」という意味ではありません。自分の心に正直に、心地よいと思うことにのみ時間を使っていくのです。

その「心地よい」には、チャレンジをすることも含みます。もともと「やりたいことをやりたい!」と思う人は、挑戦する力や未来を切り開く力を持っています。だからこそ自分の心地よさを大切にできると、より軽やかに未来を切り開き、より豊かな人生をつくっていけるのです。

誰かの時間術をそのまま真似しても、自分が心地よいとは限りません。自分の時間は自分でコーディネートしていくしかないのです。

抱えているものを手放すことの難しさ

責任感の強いあなたは、無責任なことはできないと、抱えているものを手放すことに抵抗を感じているかもしれません。

何か頼まれても、引き受けるかどうか迷っている時間もないため、「とりあえずやろう!」と引き受けている人もいるでしょう。もちろん、経験を積むことは大事ですし、そういう時期があるのはいいことです。

しかし、どこかのタイミングで、自分ではない人に任せていくなど、「あなたにとっての無駄」を手放す必要があります。このタイミングの見極めが難しいからこそ、両手いっぱいにやることを抱えて走り続けている人が多いのです。

無駄を手放すことはあなたが思っているほど難しいことではありません。

体の中に蓄積した老廃物の排出を促す「デトックス」のように、今のあなたには不必要な時間をデトックスして、本当にやりたいことや必要な時間で補給していきましょう。

体のデトックスの対象となる老廃物も、生活習慣やストレスから蓄積されます。

その生活習慣やストレスを紐解いていくと、あなたの「時間の使い方」に深く関連しています。時間の使い方には、あなたの価値観が表れるからです。

時短・効率化を基準に、あなたが手放すことを決めていく従来の方法ではなく、自分の心地よさを軸において、無駄を手放す「時間デトックス」をお届けします。

「時間がない」はもうおしまい

本書では、自分の心地よさを軸に、やることを削ぎ落としていきましょう。心地よさが軸なので、時間を通して自分の感情と向き合うことになり、自己理解も進みます。

さらに、時短・効率化を軸にしていないので、感情がついてこないことを無理に手放すことはしません。自分が納得したうえで手放していくため、より自分に正直に時間を使えるようになっていきます。

本書で紹介するのは、自分に厳しい時間術ではなく、自分に優しい時間術です。かといって、決して自分本位な時間術ではありません。

心地よい時間の使い方で、本当にやりたいことに時間を使って、ありたい未来を一緒につかみにいきましょう


吉武麻子(よしたけ あさこ)
1981年、神奈川県生まれ。TIME COORDINATE株式会社代表取締役。大学卒業後、旅行会社勤務を経て、26歳で韓国留学。その後、現地法人でキャスティングディレクターとして24時間365日仕事に追われる日々を過ごす。帰国後、キャリアとライフイベントの狭間で葛藤した経験から、疲弊せずに毎日を楽しみながら仕事のパフォーマンスもあげていく「タイムコーディネート術」を考案し、のべ4000名以上に指南。心地よい時間の使い方で、ありたい未来をつかみに行くための「タイムコーディネート実践プログラム」や「タイムコーディネーター養成講座」を開講。著書に『目標や夢が達成できる 1年・1カ月・1週間・1日の時間術』(かんき出版)、監修を担当した書籍に『時短、効率化の前に 今さら聞けない時間の超基本』(朝日新聞出版)他。また、タイムコーディネート手帳の製作販売、企業研修、時間の専門家として各種メディアにて掲載・連載執筆を行っている。2児の母。