日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2024/10/08 10:33
北陸鉄道鶴来駅から白山比咩神社に向かう途中、電信柱に「鶴来今町レ」という表示をみつけた。「レ」はカタカナの「れ」である。千葉県など、字名の代わりに「イロハ」を使用しているところはあるが、「レ」まで降られているのは珍しい。
この他、北陸鉄道石川線には乙丸(おとまる)、馬替(まがえ)、四十万(しじま)など、ちょっと変わった名称の駅が多い。
中には陽羽里(ひばり)駅のように平成2年に開業した際に、建設費用を負担した白山市曽谷町土地区画整理組合が命名したものもあるが、基本は地名である。電車の本数が少なく時間も限られているので、今回は日御子駅に降りてみた。
この駅、「日御子」と書いて「ひのみこ」と読む。所在地が石川県白山市日御子町で、地名に由来するものだ。ここには日御子郵便局もある。では「日御子」という地名はどこから来たのかというと、日御子神社に因んでいるという。
日御子神社は、駅から少し歩いたところにあった。かつては火御子社と称し、白山比咩神社の末社である。白山には火の御子峰という頂もあり、白山の神を祀ったものだろう。
日御子村という地名はかつて高知県にもあった。現在は高知県香美市香北町日ノ御子である。ここは山を背にして南西に向かって緩やかに傾斜しており、日当りがいいのが地名の由来というが、近くの河内川上流の松尾で生れた安徳天皇の皇子が、長じて谷を下りて来住したからとも伝えており、安徳天皇伝説に因む地名でもある。
全く違う場所で、全く違う由来をもちながら、「日御子」という独特の地名が生まれていることは興味深い。