一生モノのスキルになる!
『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる方法 <連載第79回>
伝える力【話す・書く】研究所を主宰し、「文章の書き方」に精通する山口拓朗さんに書き方のコツを教わります。今回は「案内・招待メール」について。
必要な情報を漏れなく、わかりやすく伝える
ビジネスシーンでは、商品やサービスの発表会、展示会、相談会、見学会など、誰かを案内・招待するメールを書くことがしばしばあります。こうした案内・招待メールでは、相手が知りたい情報をしっかり盛り込むこと、そして、淡白で冷たい印象にならないよう、文面に工夫を凝らすことが肝心です。
相手が大事な取引先やお客様の場合であれば、メールの冒頭に「平素は格別のご愛顧を賜り、心より御礼申し上げます」など、手紙の書き出しをイメージした感謝の言葉を入れてもよいでしょう。
以下、ビジネスメールで使う機会の多い基本文例を2つ、ご紹介します。
取引先への案内・招待メール
取引先を展示会へ招く際の文例です。文中の固有名詞等はすべて架空、挨拶や署名などはカットしています。ご自身の案件にあわせてアレンジしてみてください。
文例【1】
このたび弊社では、シーサイド潮で2024年10月10日(木)~16日(水)に開催される「AIプロダクト展示会」にAIシリーズ商品約10点を出展する運びとなりました。
当日は、弊社新商品「AI進ノ介」を直接体験いただき、皆様からのご意見を賜りたく存じます。
そのほかに、弊社主力商品である「AIでイーサ」の導入デモンストレーションも行います。
つきましては、ご多忙とは存じますが、会場に足をお運びいただきたく、ご案内申し上げます。
【AIプロダクト展示会の出展のご案内】——★ポイント1
・開催期間:2024年10月10日(木)~16日(水)
・開催時間:9:30~17:00
・会 場:東京都江東区◯◯1-1-1 シーサイド潮A展示場
・会場地図:https://seaside-ushio×××/map.html
・アクセス:りんかい線「◯◯駅」東口より徒歩約5分
・弊社の展示ブース:Cゾーンの16
・参加費用:無料
展示ブース位置と展示内容につきましては、添付資料(PDF)を添付しております。——★ポイント2
ご確認いただけますよう、よろしくお願いいたします。
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★ポイント1:箇条書きで情報を伝える
イベントの日時や会場、アクセス、参加費などイベント概要を伝える際には、視覚的にストレスのない「箇条書き」が適しています。
★ポイント2:詳細な資料も一緒に送る
会場地図や、会場内のブース位置、展示内容などがわかる資料なども、添付ファイルやリンクの形で送っておくと親切です。
ウェブ会議の案内・招待メール
続いて、ウェブ会議(オンラインミーティング)に招集する際の文例です。以下は、メール内の案内文の箇所です。
文例【2】
このたびは、お忙しい中、鹿児島産高級芋焼酎「さつまの丞」のブランドコンセプト会議にご参加いただけるとのこと、誠にありがとうございます。
オンラインミーティングの日時が決定しましたので、以下のとおり、ご案内差し上げます。
・開催日時:2024年10月10日(木) 13時〜14時
・形 式:オンライン(zoom)
・参 加 者:貴社/山崎様、木村様 弊社/鈴木、佐伯
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【Zoom情報】
トピック:「さつまの丞」ブランドコンセプト会議
Zoomミーティング参加URL
https://us06web.zoom.us/j/xxxxxxxxxxx ——★ポイント1
ミーティングID:000 0000 0000
パスコード:565656
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ご質問やご不明な点がございましたら、ご連絡いただけますと幸いです。——★ポイント2
当日を楽しみにしております。——★ポイント3
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★ポイント1:ウェブ会議用URLを記載する
Zoom、Microsoft Teams、Google Meet、Cisco Webexなど、ウェブ会議のツールは多岐にわたります。どのツールを使うかを明確に示したうえで、会議へのアクセス用URLを忘れずに記載します。
★ポイント2:文末に気づかいの言葉を入れる
ウェブ会議に不慣れな人もいるので、「ご質問やご不明点がございましたら〜」と気づかいのひと言を入れましょう。誠実さも感じられ、メール送信者への信頼性が高まります。
★ポイント3:期待の言葉を添える
「当日を楽しみにしております」「お話できることを楽しみにしております」など、温かみや期待が伝わる言葉を添えることで、相手に「感じのいい人だ」と思ってもらいやすくなります。
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案内・招待メールでは、冒頭で何の案内かをわかりやすく伝えたうえで、その詳細を漏れなく記載することが大切です。相手から「何時ですか?」「アクセスは?」「責任者は?」といった質問が返ってこないよう、メール送信前のチェックも入念に行いましょう。
山口 拓朗(やまぐち たくろう)
伝える力【話す・書く】研究所所長。山口拓朗ライティングサロン主宰。出版社で編集者・記者を務めたのち、2002年に独立。26年間で3600件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「1を聞いて10を知る理解力の育て方」「好意と信頼を獲得する伝え方の技術」「伝わる文章の書き方」などの実践的ノウハウを提供。著書に『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)、『マネするだけで「文章がうまい」と思われる言葉を1冊にまとめてみた。』(すばる舎)、『1%の本質を最速でつかむ「理解力」』『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(以上、日本実業出版社)、『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』(明日香出版社)、『ファンが増える!文章術——「らしさ」を発信して人生を動かす』(廣済堂出版)ほか多数。