日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2024/06/18 10:58
先日、愛知県三河地方を訪れた。東海道新幹線の豊橋駅で降りてJR飯田線に乗り換え、5つ目の豊川駅で降りてみた。ここには名鉄豊川線の豊川稲荷駅もある。成田や琴平など、地方の大きな寺社には複数の鉄道路線が乗り入れていることも多く、かつての鉄道は参拝客を大きなターゲットにしていたことがわかる。
豊川は日本三大稲荷の一つとされる豊川稲荷の門前町である。しかし、「三大稲荷」は総本山である京都の伏見稲荷こそ確定しているものの、残りの2つについては諸説ある。豊川稲荷の他にも、笠間稲荷(茨城県笠間市)、最上稲荷(岡山市)、祐徳稲荷(佐賀県鹿島市)などが有力で、どの2つをもって「三大稲荷」というかは定まっていない。
ところで、稲荷というと神社を思い浮かべる。総本山の伏見稲荷も神社である。ところが、豊川稲荷は参道に鳥居が建っているものの、妙厳寺という曹洞宗の寺院である。
室町時代の嘉吉元年(1441)に建立され、その鎮守「吒枳尼真天(だきにしんてん)」は、神仏習合によって稲荷信仰と同一視され、江戸時代には全国に信仰が広がった。明治維新後の神仏分離令によって鳥居が撤去されたが、やがて豊川稲荷という名称も復活し、戦後には鳥居も復活した。
境内の奥にある霊狐塚は一見の価値がある。もともとは納めの狐像を祀る場所だったが、今では信者から献納された大小1,000点以上の狐の石像がずらっと並んでいて壮観だ。
また、豊川稲荷の門前町は稲荷寿司発祥の地としても知られ、現在でも参道は豊川いなり寿司で有名だ。お得なセットの他に、食べ歩き用の1個売りもある。
「わさびいなり」というワサビの効いた稲荷寿司を初めて食べたが、予想以上にワサビと稲荷寿司の相性がよく驚いた。