日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2024/01/30 10:27
先日、渋温泉に行ってきた。北陸新幹線で長野に行き、長野電鉄に乗り換えて終点の湯田中駅で降りる。ここが湯田中温泉で、そのさらに先にあるのが渋温泉だ。この2つの温泉を合わせて山ノ内温泉郷という。
湯田中という地名は、もともとはただの田中村だったらしい。温泉が湧くことから湯田中になったようだ。一方、渋温泉の「渋」の由来には諸説ある。ネット上では、温泉の味が渋いからという説が多く、これを紹介している温泉旅館もある。他にも「渋々入った」という説もあるようだが、これはいかにも字面からのこじつけっぽい。
「渋」のつく地名は各地にある。その多くは川沿いの地域で、「渋川」「渋沢」「渋谷」などとして使われている。「しぶ」とは流れがゆっくりで澱んでいる場所を指す言葉で、渋温泉も横湯川沿いにある。この川の流れが遅く澱んでいたのが由来ではないだろうか。
翌朝は、朝いちで渋温泉のさらに奥にある地獄谷温泉を目指した。地獄谷温泉に直接向かう道は冬季は閉鎖されており、上林温泉近くのバス停から雪の林道を歩いて向かうしかない。それでも朝から多くの人が向かっていた。その9割は外国人で、バス停付近の店の看板はすべて英語。
雪道を25分ほど歩くと野猿公苑という看板が見えてくる。ここが地獄谷温泉の名所、温泉に入る猿「スノーモンキー」として世界中に知られているところだ。
サル達は人に慣れており、サルの数十倍の観光客がいても全く気にすることなく温泉につかっている。それどころか、スマホを向けるとちゃんとカメラ目線で応えてくれる。その様子はもうアイドルの撮影会である。
そもそも、ヨーロッパや北米には野生のサルはいない。野猿公苑に行く途中の道でサルが1匹見えただけで「Monkey!」と喜ぶ子どももおり、欧米人にとってはうってつけの観光地なのだろう。慣れない外国のバスに乗り、雪道を25分歩いてでもいくべし、とガイドブックに書いてあるに違いない。実際、サルを見慣れている日本人でも十分に楽しめる場所だった。