『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる

「文章を書くことがストレスです」
「文章を書くことが苦手で……」
「文章を書くのに時間がかかります」

そんな「文章アレルギー」の人は多いのではないでしょうか? しかし、文章を書けるかどうかは、仕事の成果や周囲の評価に大きく関わります。

そんな文章に関する「困った」にやさしく応えてくれるのが、『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』を著書にもつ、山口拓朗さんです。

この連載では、これまでライターとして数多くの取材・インタビューを経験した中から導き出した、「書くことが嫌い」を「書くことが好き」へと変える、文章作成のコツを教えてもらいます。

著者プロフィール

山口拓朗(やまぐち・たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所所長。山口拓朗ライティングサロン主宰。出版社で編集者・記者を務めたのち、2002年に独立。26年間で3600件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「1を聞いて10を知る理解力の育て方」「好意と信頼を獲得する伝え方の技術」「伝わる文章の書き方」などの実践的ノウハウを提供。著書に『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)、『マネするだけで「文章がうまい」と思われる言葉を1冊にまとめてみた。』(すばる舎)、『1%の本質を最速でつかむ「理解力」』『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(以上、日本実業出版社)、『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』(明日香出版社)、『ファンが増える!文章術——「らしさ」を発信して人生を動かす』(廣済堂出版)ほか多数。

SNSユーザー必見! 読まれる投稿はココが違う

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2024/01/05 11:38

Photo by Martin/Pixabay

一生モノのスキルになる!
『文章を書く』ことの苦手を好きにかえる方法  <連載第71回>

伝える力【話す・書く】研究所を主宰し、「文章の書き方」に精通する山口拓朗さんに書き方のコツを教わります。今回は「読みたくなる文章」について。

「いきなり紹介」はNG!

本、映画、グルメ、オススメの場所、推しの人、ハマっている趣味、マイブーム、愛用しているモノ……など、SNSで何かを紹介する時、高い反応を得られる人とそうでない人がいます。その差はどこにあるのでしょう? 

筆者は、その差は、文章の序盤にあると考えています。反応が得られない紹介文の多くが、いきなり紹介を始めてしまいます。しかし、その場合、もともとその対象に興味をもっている人でない限り、続きを読んでくれません。

一方、続きを読みたくなる文章には、序盤で書き手の体験が書かれています。SNSは個人メディアです。フォロワーが関心を持っているのは、そのアカウントの主(ぬし)の体験・エピソードです。

序盤でまずは「書き手の体験」を書く

SNSで紹介文を書く際は、「(1) 書き手の体験を書く→(2) 紹介する」の流れで書くことによって、精読率(=じっくりと文章を読む人の割合)が高まります。

また、体験を書くことで、読む人が感情移入・共感しやすくなるため、結果として、紹介する対象に興味をもってもらいやすくなります。

(1)→(2)の構成を念頭に、紹介文を書いてみます。

(1) 序盤:書き手の体験を書く

一対一で人と話をすることが苦手です。子どもの頃からそうでした。相手の目を見ると、言葉が出てこなくなるのです。その癖(病気?)は未だに治っていません。

高校生の時に、友人から「自意識が過剰なのでは?」と忠告されて、さらに会話への恐怖が増しました。

(2) 中盤以降:紹介する

そんなときに出会った一冊の本があります。それが『会話が弾む秘訣BEST100』でした。

この本には、会話の秘訣が100個以上掲載されています。さっそくいくつかのコツを実践したところ、自分でも驚くほど会話が弾みました! 

最近は、頭の中が真っ白になることも、ずいぶん減りました。この本に出会えたことに感謝。もう会話を恐れません! 「人と話すのが苦手……」という自覚症状のある方に、一読をおすすめします。

紹介する対象に光を当てて、いきなり「『会話が弾む秘訣BEST100』という本がおすすめです」と書いたところで、「読みたいです!」「買います!」という反応は期待できません。なぜなら、その本の魅力を具体的にイメージしにくいからです。

一方で、序盤で書き手の体験を書くことによって、「会話が怖い……気持ちわかるなあ」「そうそう、わたしも1対1の会話が苦手!」のように、読者の共感が生まれやすくなります。

先ほどの例文であれば、書き手が子どもの頃から抱いていたコンプレックスを赤裸々に語った(1)に、多くの読者が引きつけられます。すると、感情移入や共感が生まれ、結果として、紹介文が読む人の心に刺さりやすくなるのです。

リアリティのある魅力的な体験を書こう

以下は、テーマ別、序盤の書き方例(体験談例)です。

【ハワイを紹介する】

→ 序盤にクアロア牧場での四輪バギー体験を書く
例)緑豊かな自然の中をバギーでワイルドに駆け抜けました!

【イタリアンのお店を紹介する】

→ 序盤に窯焼きピッツァを食べた感想を書く
例)皮はパリパリ、チーズはとろとろ! 至福の時間を過ごしました。

【お気に入りの掃除機を紹介する】

→ 序盤に掃除嫌いが掃除好きに変化した体験を書く
例)吸ったゴミを目で確認できるのが快感!

【大好きな映画『恋愛小説家』を紹介する】

→ 序盤に自身のほろ苦い恋愛体験を書く
例)学生時代、臆病な自分に告白する勇気など、まったくありませんでした。

テレビの通販番組で商品が売れるのは、序盤に、その商品を使った映像(=体験映像)が映し出されるからです。この体験映像に感情移入・共感した人が「自分も使いたい!」「この商品が欲しい!」と思うわけです。

文章で紹介する時の流れも、通販番組と変わりません。いきなり紹介を始めるのではなく、序盤で読む人の共感・興味を誘う体験を語らなければいけません。この体験が魅力的であればあるほど、投稿自体への反応も高まりやすくなります。「紹介文は、書き手の体験ファースト」と心得ておきましょう。


山口拓朗(やまぐち・たくろう)

伝える力【話す・書く】研究所所長。山口拓朗ライティングサロン主宰。出版社で編集者・記者を務めたのち、2002年に独立。26年間で3600件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「1を聞いて10を知る理解力の育て方」「好意と信頼を獲得する伝え方の技術」「伝わる文章の書き方」などの実践的ノウハウを提供。著書に『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)、『マネするだけで「文章がうまい」と思われる言葉を1冊にまとめてみた。』(すばる舎)、『1%の本質を最速でつかむ「理解力」』『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(以上、日本実業出版社)、『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』(明日香出版社)、『ファンが増える!文章術——「らしさ」を発信して人生を動かす』(廣済堂出版)ほか多数。

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